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  • 北極域の多点で掘削した雪氷コアの解析から、北極域における過去200年の気候変動の地域差を明らかにすることができた。また、産業革命以後の降水酸性化の歴史を復元し、酸性物質の増加トレンドに地域差があることから、北極域へ影響を与える工業地帯を特定し、大気汚染物質の北極域への輸送経路について知見を得ることができた。北極域北大西洋セクターの雪氷コアにおいては、気温とエアロゾル濃度が北極振動に由来する十年スケールの変動をしていることが分かってきており、今後、北極振動の影響を統計的に解析する計画である。また、北極域大西洋セクターで掘削した雪氷コアの解析を更に進め、大西洋と太平洋の気候変動を比較する。これによって、北極域全域にわたる気候変動と気候変動のテレコネクションを解明する手がかりが得られるものと期待できる。また、北極域における温暖化の生じ方の地域差とその原因についても重要な知見が得られると期待できる。 南極ドームふじ深層コアの解析から、過去70万年以上に亘る気候変動の実態が明らかになりつつある。ドームふじコアの研究は内外の多数の研究者が関わる大規模な共同研究であるが、良好な共同研究体制が組織できてきた。今後この共同研究体制によって研究を大きく推進することができると期待される。ドームふじコアを用いて氷期・間氷期サイクルや千年スケールの気候変動のメカニズムに関する研究を更に発展させ、研究成果を世界に発信していく計画である。 気候変動のメカニズムを解明するためには、両極比較が不可欠である。2007年からデンマークをリーダーとした国際共同研究体制の下、グリーンランド北部で深層コアを掘削する計画(NEEM計画)が発足した。日本も本計画に参加しており、国内外の共同研究者との良好な共同研究体制が確立している。NEEMにおける掘削は2010年7月末に岩盤に到達したため、今後、NEEMコアの解析を推進する。また、南極ドームふじコアとの比較を行い、全球規模での気候変動メカニズムの解明を目指す。