2005年12月
時系列工程管理技法に基づく管理状態からの逸脱の検出および逸脱期の識別
応用統計学
- ,
- 巻
- 34
- 号
- 2
- 開始ページ
- 99
- 終了ページ
- 120
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.5023/jappstat.34.99
- 出版者・発行元
- Japanese Society of Applied Statistics
通常工程の状態は当初管理状態にあり,それが何らかの要因により管理状態から逸脱し,管理外れ状態に移行するものと考えられる.現工程の状態を判定する場合,現工程から得られたサンプル・データと併せて,これ以前に得られていたサンプル・データを十分に活用して現工程の状態を判定することは有意義な方法であるといえる.ここに,連続するサンプリングにおけるサンプル・データを活用し,工程状態を解析する方法として,CUSUM管理図やEWMA管理図といった時系列管理図法が存在する.ただし,従来の時系列管理図の検出特性の評価においては,時系列管理図の適用にあたって,適用当初から工程が管理外れ状態であった場合の検出特性が取り上げられている.これに対して,既述のように初期状態において管理状態にあった工程が何らかの要因によりある時点から管理外れ状態に移行する状況が一般的であると考えられる.そこで本研究では,まず工程の品質特性の管理状態の分布からの乖離の程度をKullback-Leibler情報量に基づき定量化し,これを打点統計量としそ工程の状態判定を行う(x,s)同時管理図をもとに,CUSUM管理図およびEWMA管理図といったいくつかの時系列管理図を設計する.さらに,管理図の適用当初から管理外れ状態にある状況のもとでの検出特性を評価する従来の研究とは別に,管理状態のままでいくらかの時間を経過した後に管理外れ状態に移行する状況を想定し,このもとでの管理外れ状態に対する検出特性を評価することを考える.くわえて,管理外れ状態を検出するばかりでなく,工程の管理状態からの逸脱期を特定することは品質管理・工程管理において重要な課題である.このことに鑑み,工程を時系列的に解析する上述の管理図をもとに,情報量規準に関する概念を応用し,どの時点において管理状態からの逸脱が生じたのかを解析的に識別する方法を提案する.
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.5023/jappstat.34.99
- ISSN : 0285-0370
- CiNii Articles ID : 130001578491