論文

査読有り
2019年9月

きのこ廃菌床を利用した汚染森林のリター層付近における放射性セシウム移動に関する現地調査

Journal of Nuclear Science and Technology
  • 大貫 敏彦*
  • ,
  • 坂本 文徳
  • ,
  • 香西 直文
  • ,
  • 山崎 信哉*
  • ,
  • 佐々木 祥人
  • ,
  • 新里 忠史

56
9-10
開始ページ
814
終了ページ
821
記述言語
英語
掲載種別
DOI
10.1080/00223131.2019.1588799

食用きのこを栽培した後の副産物である廃菌床(SMS)を利用して、福島県の森林地帯のリター層における放射性セシウム移動の現地調査を行った。粉末状のSMSを0.35$\times$0.55mのプラスチックバックに詰め、およそ六ヶ月間森林に設置した。その際、バックをそのまま(No treatment)、バックを木製の箱で覆う(With box)、バックを置いた土壌の山側にゼオライトを設置(With zeolite)の3条件を試験した。SMSバックの下の土壌とリターからSMSへの移行係数(TF)を評価した。その結果、設置六ヶ月の「No treatment」と「With zeolite」のTFはおよそ0.01から0.05であった。一方、「With box」のそれは「No treatment」と「With zeolite」の二ヶ月と四ヶ月設置のTFより一桁低いが、六ヶ月ではほぼ同じ値であった。このことは、SMSへの放射性セシウムの濃集は林間雨によるものが主であることを示唆している。さらに、たとえ放射性セシウムが土壌に強固に結合していても、数ヶ月の設置では真菌がリター層の放射性セシウム濃集に関与していることが示唆された。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1080/00223131.2019.1588799
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5065370
ID情報
  • DOI : 10.1080/00223131.2019.1588799
  • ISSN : 0022-3131

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