2018年6月 - 2020年3月
腹部多発リンパ節転移を標的とした逆行性リンパ管内化学療法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
広汎に多発リンパ節転移をきたし、根治切除不能な消化器癌に対し、頸胸部から胸管内にカテーテルを挿入、そこから逆行性に抗癌剤を持続注入し、広汎な腹部リンパ節転移巣に高濃度の薬剤を選択的に投与することで、高い抗腫瘍効果と毒性の軽減をはかる「逆行性リンパ管内化学療法」という新規治療戦略の可能性を探ることを目的とした。方法として、まず、麻酔下に大動物のブタの胃壁内および腹部リンパ節に青色色素(パテントブルー)を注入しリンパ管系を容易に視認できるようにした後、開胸し、胸管を同定することを試みた。その結果、腹腔リンパ本管は横隔膜を通過した後、枝分かれして大動脈周囲を上行し、気管分岐部から頭側で再び集合し集合リンパ管を形成することが解った。そこで、頸胸部の気管左方で胸管をテーピングし、カニュレーションをする動物モデルを作成し、水溶性抗癌剤であるシスプラチン、脂溶性抗癌剤パクリタキセルを胸管チューブより投与、薬物を投与しその動態を検討することにした。今後はこのモデルを用いて、血液および種々の臓器における抗癌剤の濃度を胸管内投与後24時間まで経時的に測定することで、全身投与との薬物動態の違いを明らかにする。さらに、免疫不全ブタを用いて腹部リンパ節に腫瘍を注入、転移癌を作成した後、同様の方法で抗癌剤を胸管内に留置したカテーテルより投与しその組織学的効果を経静脈的に投与した群をコントロール群として比較し、その治療効果についても検討する予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K19481
- 体系的課題番号 : JP18K19481