共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年 - 2005年

破骨細胞形成の分子機構解明とその骨疾患治療への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
16390428
配分額
(総額)
14,300,000円
(直接経費)
14,300,000円

RANK-TRAF6シグナルにより破骨細胞分化が誘導されるが、CD40-TRAF6シグナルでは誘導されない。その原因を解明するためにヒトCD40の細胞外領域および膜貫通領域にマウスRANKの細胞質領域を融合させたキメラ受容体(h40/mRK)による破骨細胞形成実験系を確立し、以下の結果を得た。1)RANKには、3つのTRAF6結合部位が存在するが、1つのみにしてもNFATc1の発現誘導及びカルシウムオシレーションは起こり破骨細胞を誘導された。2)h40/mRKとCD40はほぼ同程度にNFκBやMAPKを活性化した。3)CD40をh40/mRKの100倍多く細胞表面に発現させると弱いながらCD40シグナルによりNFATc1の発現誘導が起こり破骨細胞が形成された。即ち、RANKはTRAF6シグナルをCD40に比べておよそ100倍増幅する機能を有していることになる。4)CD40が持つTRAF6結合配列をRANKの3つのTRAF6結合配列一つ一つと入れ替えた受容体は、野生型CD40とほぼ同程度にNFκBやMAPKを活性化したが、破骨細胞の形成は誘導できなかった。これはおそらくRANKの細胞質領域のどこかにTRAF6シグナルを増強する因子が作用するか、あるいはRANKの特定部位が直接TRAF6シグナルを増幅すると考えられる。そこで、RANKの細胞質領域の欠損変異体を作成し、破骨細胞形成に必要であるが、NFκBやMAPKの活性化には不必要な領域を探索した。その結果、RANK細胞質領域中に多くの種で保存されている部位が存在し、この部位を欠損させるとTRAF6シグナルが増幅されず、破骨細胞が形成されないことが判明した。今後この部位の機能について解明する予定である。

ID情報
  • 課題番号 : 16390428