2009年9月
高温ガス炉冷却材中の化学的不純物挙動に関する研究(学位論文)
JAEA-Review 2009-027
- 開始ページ
- 135
- 終了ページ
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
- DOI
- 10.11484/jaea-review-2009-027
高温ガス炉において冷却材ヘリウム中の化学的不純物挙動を把握し、制御することは、炉心構成材に使用される黒鉛の構造健全性維持,中間熱交換器に使用される高温材料の脱炭による構造強度劣化抑制及び炭素析出による熱物性劣化抑制に極めて重要である。また、供用期間中の長期安全・安定運転のみならず、将来高温ガス炉で想定される中間熱交換器の交換回数の削減,ヘリウム純化設備の簡素化は、経済性向上の観点から重要である。そこで、日本初の高温ガス炉HTTRにおける化学的不純物の実測値をもとにその挙動を解明し、電力水素併産型将来高温ガス炉GTHTR300Cにおける化学的不純物濃度の制限及びその制御法を提案した。本研究では、HTTRの原子炉出口温度950$^{\circ}$Cまでの化学的不純物に対し、放出挙動の解明,純化能力の把握,黒鉛構造物及び断熱材からの放出量評価,中間熱交換器伝熱管における水素透過量を評価した。この評価結果をもとに、炉心におけるラジカル反応等の複雑な化学平衡状態を解明し、ハステロイXR製伝熱管の脱炭による構造強度劣化や炭素析出による熱伝導率などの熱物性劣化を防ぐことが可能な不純物濃度範囲を明らかにし、実機における炉心の化学状態に呼応しながら化学的不純物を注入するアクティブ制御法を提案した。本研究により、将来高温ガス炉のシミュレーション技術の高度化が可能となり、原子炉のスケールアップに対し、大規模な技術システム開発の効率化が期待できる。
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- DOI : 10.11484/jaea-review-2009-027