講演・口頭発表等

2014年10月12日

"清宮珍寶皕美圖"に関する報告―とある『金瓶梅』挿画の背景と現時点での版本を中心に―

日本中国学会 第66回大会
  • 上 なつき

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
日本中国学会
開催地
大谷大学本部キャンパス

上記リンク「日本中国学会第六十六回大会プログラム」4ページ目に発表題目の掲載あり。詳細は、以下のとおり。
〈発表要旨〉
これまで中国家具史の論考、とりわけ明清期では、『金瓶梅』の文字情報と合わせて挿画を資料に使用することが多かった。その有用性は1992年にクレイグ・クルナスが既に指摘しており、その後、中国における明清家具についての文章では、何らかの形でこの小説を利用したものは多いことを、高井たかねが指摘している。
よく援用される『金瓶梅』の挿画中、明代に制作された『金瓶梅』崇禎本の挿画は現在、日本でも出版されて流通し(瀧本弘之編『中国古典文学挿画集成(四) 金瓶梅/紅楼夢』)、その制作者や地域などの背景や出版事情を詳しく教えてくれる。一方、同じ『金瓶梅』の挿画"清宮珍寶皕美圖"(以下"清宮美圖")は、その背景を断片的にしか明らかにされていないように思われる。
"清宮美圖"の個々の情報については、まずカーティス・エヴァーツが、この挿画のオリジナルセットには乾隆の印があり、制作されたのは18世紀初めから中期だと推定している。また藤原美樹らは「清宮皇子の教育用とされる清宮宮廷秘蔵」のものだとしている。両者による推定をもとにすれば"清宮美圖"は18世紀初め~中期の制作で、清の宮廷の所蔵だったと考えられる。
今回は"清宮珍寶皕美圖"に関し、新たに陳崇海「昌平県档案館《金瓶梅》人物画集」の記事を検証し、挿画の鑑賞時代、その後に刊行された版などに関して情報整理を行う。そして、オリジナルのリプリント版と思われる京都工芸繊維大学、北海道大学所蔵の版の調査をもとに、エヴァーツらの推定した制作年代や場所を確認して、可能な限り、現時点での挿画に関する情報を纏め、報告を行うことにする。
(以上、第66回大会準備会編『日本中国学界 第66回大会要項』、日本中国学界、2014年8月、29ページより引用)

リンク情報
URL
http://nippon-chugoku-gakkai.org/utf8/taikai/66honbun.pdf