共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年 - 2005年

血管内投与した遺伝子ベクターや抗癌剤を腫瘍細胞内に高濃度で集積させる新技術の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
14370278
配分額
(総額)
7,000,000円
(直接経費)
7,000,000円

悪性腫瘍の治療法として外科療法、放射線療法、化学療法、免疫療法、遺伝子治療などが普及する一方で、それぞれの治療法の限界も明らかになってきている。この研究の目的は、動物実験レベルで血管内投与した抗癌剤や遺伝子ベクターを悪性腫瘍細胞内に高濃度で集積させる新技術を開発することにある。悪性腫瘍に対して化学療法、遺伝子治療の治療効果を増強するため、集学的治療のひとつとして現実的に臨床応用するシミュレーションとして、マウス移植腫瘍において、in vivoエレクトロポレーション法を用いた化学療法、遺伝子治療による集学的治療実験を行った。そして、その効果と臨床応用の可能性および問題点を検討した。
結果1.実体蛍光顕微鏡観察を行うことにより経時的に腫瘍血行動態をとらえる動物実験システムを作成し、Skid、C3Hマウスにマウス腫瘍細胞FSa-IIを移植し、蛍光物質(Dextran, Oregon Green)の急速注入時の経時的な蛍光発現の変化を観察した。蛍光発現量を20秒ごとの蛍光蓄積量として当科で開発した螢光顕微鏡システムを用いて経、的に測定した。蛍光物質の急速注入後、20-40秒後に腫瘍形成部の蛍光量はピークとなり、以後減衰した。造影剤を蛍光物質に添加した場合にも、蛍光量ピーク時間の変化は認めなかった。
結果2.C3Hマウスにマウス腫瘍細胞FSa-IIを移植し、蛍光量がピークとなる20-40秒後にあわせてcyclophosphamide(CY)250mg/kgの急速ボーラス注入後に、ピンセット電極を用いて遺伝子導入装置を用いて電気穿孔を行った。対照として、無処置群、CY単独、電気穿孔単独、電気穿孔後CY急速ボーラス注入群に分けて検討した。無処置群のTG50値は13日、電気穿孔単独では15日、CY単独では24日、電気穿孔後CY急速ボーラス注入群では26日、CY急速ボーラス注入後電気穿孔後群31日であり、電気穿孔とCY急速ボーラス注入投与のタイミングを合わせることにより相乗効果がみられた。
結果3.蛍光蛋白enhanced green fluorescent protein(EGFP)ベクターの遺伝子導入については、使用したベクター注入濃度では、いずれの条件下でも螢光発現は検出できず、蛍光量による相乗効果の確認はできなかった。

ID情報
  • 課題番号 : 14370278