共同研究・競争的資金等の研究課題

2014年4月 - 2015年3月

加齢とともに生じる個体差を識別するためのシステムの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究
  • 安田 佳代

課題番号
26930026
配分額
(総額)
400,000円
(直接経費)
400,000円

近年、筋肉量が老化に深く関与していることが示唆されている。しかしながら、老化には遺伝子と環境が複雑に関与しているため、その原因を特定することは難しい。そこで、遺伝的に均一な実験動物である線虫の一種Caenorhabditis elegansを用いて筋肉量をモニタリングするシステムの構築をおこなった。筋肉構造に関わる遺伝子に蛍光遺伝子(GFP)を結合させ、その遺伝子を導入した線虫(TG)の筋肉量を蛍光強度で測定・選別し、その後の寿命を調べることで寿命と筋肉量の関係を明らかにできるのではないかと考えた。虫の選別には線虫用ソーター(COPAS)を用いた。
最初にCOPASによる蛍光分布および選別の条件検討をおこなった。その結果、最適な条件でも全体の10%以下の線虫しか選別できないことが分かり、およそ4000匹の線虫を用いることで、2群の寿命比較実験が可能になることを明らかにした。次に、ソーターによる虫の寿命への影響を調べたが、COPASを通すことにより、15%程度寿命が短くなることが判明した。雑菌の混入による可能性が示唆されたため、抗生物質を添加して測定を行ったが、雑菌の混入は少ないにも関わらず寿命が短くなることから、ソーターのレーザー等が関与しているのではないかと思われた。しかしながら、同一条件(ソート)内であれば比較可能と判断し、まずは蛍光強度の強い抗酸化遺伝子SOD::GFPを導入した虫を用いて強度別に選別し、寿命を測定した。結果としては両者に有意差が見られないが(P<0.5)、同一条件内の測定が可能であることが示唆された。さらに、SODより蛍光強度が弱い筋肉特異的な遺伝子(myo-3)のTG線虫を用いても選別が可能であった。
今後、このシステムを用い、若齢時のみならず高齢時の蛍光強度の測定、脂肪の蓄積に関わる遺伝子を導入することで、寿命と筋肉量や脂肪量の関係が明らかになるものと期待される。