西垣内 泰介

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アバター
研究者氏名
西垣内 泰介
 
ニシガウチ タイスケ
URL
https://researchmap.jp/KelKroydon/
所属
神戸松蔭女子学院大学
部署
文学部英語学科
職名
教授,言語科学研究所所長
学位
Ph.D.(マサチューセッツ大学大学院言語学科博士課程), 文学修士(大阪大学), 学士(大阪外国語大学)
科研費研究者番号
40164545

最近のエントリー

 
 

学歴

 
1980年9月
 - 
1986年7月
マサチューセッツ大学大学院言語学科博士課程  
 
1977年4月
 - 
1979年3月
大阪大学 文学研究科 英語学
 
1979年4月
 - 
1980年9月
大阪大学 文学研究科 英語学専攻
 
1973年4月
 - 
1977年3月
大阪外国語大学 外国語学部 英語学科
 

書籍等出版物

 
ことばの科学ハンドブック
郡司隆男・西垣内泰介 (担当:共著)
研究社(東京)   2004年2月   
現代の言語科学の立場から語彙、音声、文法、意味と論理、言語の多様性、言語習得、さらに言語研究へのコンピュータの応用などについて初学者のために解説した。共編著であるが、全体の構成を構想し、各章の内容に編集を加えた。また著者として第1章(語形成pp.1-36)、第3章(統語論pp. 83-132)、第4章(言語習得pp. 133-149)および付録の一部(pp. 251-254)を執筆した。
西垣内泰介・石居康男 (担当:共著)
研究社(東京)   2003年6月   
日英語対照研究に関わる特定的な問題について、普遍文法=言語能力を仮定する立場から様々な構文現象を論じた。担当執筆個所は全5章のうち第1章(序論 pp. 1-4)、第2章(日本語の語順と構造 pp. 5-49)、第4章(日本語のWH 構文 pp. 109-148)。
くろしお出版(東京)   1999年3月   
日英語のWH構文を中心に、その文法的・論理構造的諸相を基本的な構造から様々な言語事象に言及しながら8章にわたって理論的な分析と議論を提示した。中心的なトピックは局所性に関する統語的特性、量化に関わる意味的特性との関連、関数的解釈とその言語事象における出現、その統語的分析などである。「WHの島」の現象、複数のWH要素が現れた場合の語順の問題、WH要素を含む省略構文などが扱われた具体的な言語事象である。全218頁
Taisuke Nishigauchi
Springer, Dordrecht.   1990年   
日英語のWH構文を中心に、その文法的・論理構造的諸相を示した。日英語のWH構文の統語的特性、特に日本語の当該構文がそれまで気づかれなかった局所性の制約に従っていることを示し、論理構造での新しい分析を示し、以後多くの議論を引き起こした。またWH構文の持つ意味的・論理的特性についての議論も、後の研究の中で基本文献として引用されている。1986年マサチューセッツ大学に提出のPh. D. 学位論文を、査読の上改訂。不定名詞句の扱いなど、新しい議論を加えた。
Quantification in syntax.
Taisuke Nishigauchi
Ph.D. dissertation, University of Massachusetts.   1986年   
学位論文。日英語のWH構文を中心に、その文法的・論理構造的諸相を示した。日英語のWH構文の統語的特性、特に日本語の当該構文がそれまで気づかれなかった局所性の制約に従っていることを示し、論理構造での新しい分析を示し、以後多くの議論を引き起こした。またWH構文の持つ意味的・論理的特性についての議論も、後の研究の中で基本文献として引用されている。

論文

 
西垣内 泰介
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin トークス   22 59-74   2019年3月
本論文は,「地図をたよりに(目的地にたどりつく)」のような,「付帯条件」を表すとされる付加表現について新しい提案をしている西垣内(2019, 『日本語文法』19(1)) の補遺である。そこで提案されている統語的分析の要点を示した上で統語分析の詳細なポイントを追加し(1–2 節),代名詞束縛,量化表現の相対スコープ,「量化詞分離」の現象に基づく「構造的連結性」の議論を提示し(3 節),「時」に関する解釈など,統語論分析だけでは捉えられない意味的な要因についての議論を行い(4 節),西垣内(2...
「地図をたよりに」の構造と派生
西垣内 泰介
日本語文法   19(1)    2019年3月   [査読有り]
「地図をたよりに(目的地にたどりつく)」のような,「付帯条件」を表すとさ れる付加表現について,西垣内 (2016) によって提案された,2 項をとる特定の構 造を持った名詞句(「関数名詞句」)から「指定文」を派生する分析方法を用いて, その統語構造と統語的派生を提案し,従来の「非飽和性」に基づく考察では予測 できない現象を提出する。その観察と分析に基づいて,「X を Y に」が「X を Y に して」とはまったく異なる特性を持つことを示す。
The Syntax behind the Concealed Question
Taisuke Nishigauchi
Proceedings of Olinco 2018 (The Olomouc Linguistics Colloquium, Palacký University, Czech)      2019年   [査読有り]
The present paper argues that the specificational sentence (SPC) and the con- cealed question (CQ) derive from what we call the Functional Noun Phrase (FuncNP) which has the specific structure in which the head FuncN denotes a relation between its...
西垣内 泰介
言語研究   150 137-171   2016年10月   [査読有り]
この論文では,日本語の「指定文」および「カキ料理構文」と呼ばれ ている構文について,特定の構造を持つ名詞句を中核として,その構造と派生 を示す。本論文の分析では「中核名詞句」は 2 つの項をとり,外項が主要部名 詞の意味範囲を限定(delimit)し,内項がその意味内容を「過不足なく指定する」
(exhaustively specify)という関係を持つ。「中核名詞句」の内項が焦点化される ことで「指定文」が,その指定部を占める外項が主題化されることで「カキ料 理構文」が派生される。焦点化...
『言語研究』   146 109-133   2015年3月   [査読有り]
中国語などで観察され,重要な問題領域を作っている阻止効果につい て考察する。視点投射とそれにもとづく「自分」束縛のメカニズムを提示し, 日本語で阻止効果が顕著に見られるのは「自分」の先行詞が「視点焦点」であ る時で,「意識焦点」が関わるケースで起こる「有意識条件」の効果と相補分 布をなすことを示す。 本論の分析では,日本語に見られる阻止効果はエンパシーの制約の違反であ り,これに関わるさまざまな言語現象について Kuno and Kaburaki(1977),久野(1978)などで「視点...
Journal of East Asian Linguistics   23 1-50   2014年5月   [査読有り]
西垣内 泰介
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス   21 151-169   2018年3月
本論文ではSells (LI 18, 1987) のいわゆる「主観表現」に関わる分析に関連し、Nishigauchi (JEAL 23, 2014) による「視点投射」(POV-projections) を含む統語構造の観点からの分析を提示する。本論文の分析では下位の視点投射が上位の視点投射の位置へ主要部移動し、それによって下位の視点投射の「一致」領域が広がることによって捉えられる言語現象を示す。さらに、「理由」「原因」という従来「非飽和名詞」と呼ばれているものを含む構文の中で見られる「視...
西垣内 泰介
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス   20 127-142   2017年3月
この論文では,「量関係節」「潜伏疑問」そしてある種の分裂構文が「変項名詞句」のヴァリエーションであり,いずれも西垣内(2016b) で「中核名詞句」と呼んだものから派生するものであることを示す。「量関係節」は「量」を表す名詞を主要部とし,その指定部に量をはかる対象となる名詞句が関係節のかたちであらわれ,その内項としてその量の「値」が現れるものである。これまで「疑似分裂文」と呼ばれてきたものの中には「連結性」を示すものがあり,それらはidentity を表すID という発音されない名詞をその...
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin (TALKS)   (19) 101-122   2016年3月
この論文では,日本語の「指定文」および「カキ料理構文」と呼ばれている構文について,特定の構造を持つ名詞句を中核として,その構造と派生を示す。本論文の分析では「中核名詞句」は2 つの項をとり,外項が主要部名詞の意味範囲を限定(delimit) し,内項がその意味内容を「過不足なく指定する」(exhaustively specify) という関係を持つ。この立場から「カキ料理構文」の派生の先行研究との相違,「非飽和性」の概念を検討する。「自分」の「逆行束縛」の現象について,発話行為を表す名詞な...
「変項名詞句」としての「量関係節」「潜伏疑問」 「主要部内在型関係節」
『日本語疑問文の通時的・対照言語学的研究』平成27年度 研究報告書(3)   118-138   2016年3月
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin   (18) 85-102   2015年3月
Sells (1987) のいわゆる「主観表現」に関わる分析に関連し、「伝達源」は同時に「自己」「基準」であり、「自己」は「基準」でありうるが、その逆はないという「ロゴフォリック階層」の概念的基盤をなす含意関係について考察し、本稿の分析ではこの現象が下位の視点投射が上位の視点投射の位置へ主要部移動し、それによって上位の視点投射の指定部にあるpro の指標が下位の視点投射指定部のpro に受け継がれることによって捉えられることを提示する。問題の主要部移動は「最小性」の効果を示すことを論じる。
237-268   2014年11月   [査読有り]
西垣内 泰介,日高 俊夫
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス   16 99-115   2013年3月
(1) のWh 疑問文は、東京方言では多義性があり、yes-no 疑問文とWh 疑問文の解釈が可能である。
(1) ナオヤはマリが誰に会ったか知りたがっているの?
他方、無アクセント方言のひとつである佐賀方言では(1) はyes-no 疑問文の解釈のみが可能である。
本発表では、(1) の東京方言における多義性を焦点イントネーション(FI) (Wh要素が韻律上のプロミネンスを持ち(P 焦点化)、以後の音調が低く抑えられる) と関連づけて考える。佐賀方言では(1) に相当する文はFI ...
「自分」の「長距離束縛」と視点投射
畠山雄二 編『理論言語学の可能性』      2012年9月   [査読有り]
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin   (15) 103-117   2012年3月
「証拠性」「評価」「受益」など視点 (POV) の素性で定義される投射を持つ句構造によって視点に関わる言語現象を説明する。再帰形「自分」は視点投射の中で指定部にある「項」によって局所的な束縛を受けると考える。この指定部の「項」は多くの場合 pro であり、上位の節の項によるコントロールを受ける。これが従来「自分」の長距離束縛と考えられているものである。視点投射の指定部 pro は主要部によってその性質が決定される。これによって証拠性、評価の投射が関わる「自分」束縛には有意識条件が適用するが...
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin   (14) 81-106   2011年3月
Wh構文の解釈と韻律構造―佐賀方言と東京方言の対照より―
日高 俊夫
日本語言語学会第141回大会予稿集   272-277   2010年11月   [査読有り]
の疑問文(1)は、東京方言では多義性があり、yes-no疑問文とWh疑問文の解釈が可能である。(1)ナオヤはマリが誰に会ったか知りたがっているの?他方、無アクセント方言のひとつである佐賀方言では..に相当する文はyes-no疑問文の解釈のみが可能である。本発表では、(1)の東京方言における多義性を焦点イントネーション(FI)(Wh要素が韻律上のプロミネンスを持ち、以後の音調が低く抑えられる)と関連づけて考える。佐賀方言では(1)に相当する文はFIの韻律特徴を示さない。我々はこの違いを(2)...
Asymmetries in Fragments
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin   (13) 51-66   2010年3月
日本語の断片表現(fragments)の中でwh疑問文に対する短い答えとスルーシング(sluicing)は統語的島の制約の効果がゆるく、「はぎ取り」(stripping)と呼ばれる断片表現は島の制約の効果が強く表れる。この非対称性を説明する分析としてMerchant(2004)の分析を用いて「制約違反の修正」(island repair)が有効な構造位置とそうでない位置を区別する方法を提案した。
The Awareness Condition and the POV Projections
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin   (12) 37-49   2009年3月
日本語の再帰表現「自分」はそれをc統御する最小の視点投射(POV projection)の中で束縛されるものであり、従来長距離束縛と考えられているものは2つのプロセスが連動することに起因する:再帰形を直接束縛するのは視点投射の指定部を占める「視点保持者」(POV holder)であり、この位置にproが現れることによりproが高い位置にある節の中の要素によってコントロールを受ける。この分析は従来「意識条件」(the awareness condition)と呼ばれている条件の適用の有無を説...
エヴェ語のロゴフォリック代名詞―視点投射とコントロール―
折田 奈甫
日本言語学会第137回大会予稿集   392-397   2008年11月   [査読有り]
エヴェ語のロゴフォリック代名詞(LP)は、「補文引用標識」beによって導かれる従属節中でのみ容認される。本発表では、beをSpeas(2004)などの「視点投射」(POV projections)のひとつ、Speech Act Phrase(SAP)の主要部と考え、その指定部に‘Speaker’(発話主体)役割を持つproの存在を仮定する。この分析ではLPの直接の先行詞はSAP.Specのproであり、このproは主文の名詞句Xによってコントロールされる。このコントロールは非義務的コントロ...
Reflexive Binding and Attitudesde se
岸田 眞紀
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin(TALKS )   (11) 67-89   2008年3月
日本語の再帰形「自分」は「視点投射」の指定部にある項要素によって局所的に束縛されるものであるという考えを示し、従来の「主語」による束縛に基づく分析に対する問題点を示した。「自分」の同一節内での束縛には述語(動詞)の語彙的性質が関与しており、動詞の中には「反再帰」的性質をもつものがあることを示した。
Ellipsis and the Island
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin(TALKS )   (10) 77-86   2007年3月
日本語のWH疑問文に対する短い答えをどのように派生するかが本論のテーマである。答えに相当する構成素が相当する疑問文中のWH要素と同じように移動を受け、それ以外の節の残りが削除されることで短い答えは派生される。疑問文が「島の制約」の違反を含む場合も同様に派生されると考える。この議論により、「島の制約」は本質的に発音される構造に対する制約であり、派生が制約の違反を含む構造が削除される、つまり「発音されなくなる」ことによって制約が効果を持たなくなる、いわゆる「島の修復」(island repai...
Short answers as focus.
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin   Vol.9 73-94   2006年3月
WH疑問文に対する短い答えは焦点要素の前置(移動)と前置された要素以外の部分の消去によって派生されるという考え方を示し、束縛や量化に関わる現象に基づく証拠を示した。日本語のWH疑問文で島の制約を表面上違反していると思われる文に対する短い答えは音韻形式における「修繕」(repair)によって文法性が回復されるという考え方を示し、筆者の学位論文で提示した主張を修正している。
‘Point of view’and the logophoric anchor.
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin   Vol.8 107-131   2005年3月
話者の視点という意味的な機能を持つModality(Mod)という機能範疇の存在を仮定し、この投射の指定部に「視点保持者」が投射されることを主張した。この指定部には語彙的な名詞句が「は」を伴って実現される他、照応代名詞(pro)が生起する。日本語の「自分」を含む長距離束縛の現象は、この照応代名詞を介した統御(control)の現象であることを主張し、アイスランド語の長距離束縛の現象との比較を示した。
Head-Internal Relative Clauses in Japanese and the Interpretation of Indefinite NPs.
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin   (No.7) 113-130   2004年3月
主要部内在型関係節は非カテゴリー的判断(thetic judgments)を例示するものであるという独自の仮説を提案し、その主張を支持するいくつかの証拠を論じた。主たる内容は(1)主要部内在型関係節の解釈はEタイプ代名詞の解釈を含むものであり、この構文の持つ多くの特性はEタイプ代名詞のそれに関連づけられる(2)非カテゴリー的判断が統語構造に反映するありかたを具体的に示した。
Internally-Headed Relative Clauses in Japanese as Thetic Judgments.
『言語における制約間のインターフェースに関する総合的研究』(課題番号12410129)   137-160   2004年3月
主要部内在型関係節は非カテゴリー的判断(thetic judgments)を例示するものであるという独自の仮説を提案し、その主張を支持するいくつかの証拠を上記論文より詳しい議論によって論じた。投射仮説に基づく分析との相違点、関連する特定的構文についてのより詳しい議論、量化作用域についての議論、一見して反例と思われる現象についての分析、他言語の相当構文との比較など。
When Reconstruction is Forced.
『言語における制約間のインターフェースに関する総合的研究』(課題番号12410129)   117-135   2004年3月
日本語のかきまぜに見られる意味解釈上の特定的な問題を論じた。かきまぜによって移動を受けた名詞句のうちWH要素や否定対極表現などは節(CP)や否定要素範疇(NegP)の指定部で解釈を受けることを、束縛関係などを根拠にしながら示した。
Head-Internal Relative Clauses and the Mapping Hypothesis.
林 由紀
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin   (No.6) 65-85   2003年3月
主要部内在型関係節を認可する条件として存在含意の条件が重要であること、またこの構文の「主要部」となる名詞句は不定名詞句であり、投射原理に基づいてVP内部で解釈される必要があることを述べた。執筆個所は後半の第II部で、否定構文に関連する特定的な問題について論じた。
Scrambling and Reconstruction at LF
言語研究   (No.121) 49-105   2002年3月   [査読有り]
日本語の「かきまぜ」と英語のWH移動に関わる論理形式での「再構成」について論じた。本論文は日本語で「かきまぜ」を受けた名詞句がLFでの再構成reconstructionにより文中のさまざまな位置で解釈を受ける可能性があることを主張する。まず、移動を受けた名詞句はD構造位置だけでなくCPやvPの「端」(edge)で再構成を受けることを示す。この主張の基盤となるのは束縛とスコープに関わる事実である。次に、LFでの再構成は束縛理論の制約を受けることを示す。再構成はさまざまな位置で名詞句を解釈する...
Sluicing in Japanese and Logical Form
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin(TALKS)   (No.5) 83-106   2002年3月
補文に現れるWH疑問文で、WH要素のみを残して節を省略するプロセスについて、次の要因との関連で分析した。(i)量化詞のスコープ、(ii)不定名詞句の解釈、(iii)WH要素の「関数的」解釈。特に、この省略現象が起こるときにはWH要素が他の量化詞よりも広いスコープを取らねばならないという仮説に対して一見して反例となる事象を挙げ、それらが実は不定名詞句の解釈についての見方を変えることで反例とならないことを示した。
Children's Interpretation of Quantification: Their wh-Constructions
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin(TALKS)   (No.4) 85-99   2001年3月
日本語を習得する過程の幼児がどのようにして量化を含む構文を理解・解釈しているかという研究の一環として、この研究では3歳から5歳の幼児のWH要素を含む構文の解釈を調べる実験を行った。その結果、幼児はWH構文のリスト解釈を過剰一般化する傾向があるという先行研究の知見を確認した。また、2重WH構文では2つめのWH要素のみに答えを与えるパターンが数多く見られることを指摘、その背後にある文法構造と原則について可能な仮説を提示した。
Sluicing with LF Pied-Piping
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin(TALKS)   (No.3) 83-92   2000年3月
日本語のWH要素を含む省略現象と局所性の関連について述べ、著者の従来の主張に新たな証拠を示した。
編者:Natsuko Tsujimura
The Handbook of Japanese Linguistics   269-296   1999年8月   [査読有り]
日英語のWH構文と量化を含む構文についてその諸特性を述べて、新しい理論的枠組みでの分析の見通しを示した。過去の分析の中で統語的制約や条件を用いて説明されていた事象の多くが論理構造的概念、例えば意味タイプや関数的解釈などに基づいて新しい説明が可能であることを示した。
Some Preliminary Thoughts on the Acquisition of the Syntax and Semantics of wh-Constructions
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin (TALKS)   (No.2) 35-48   1999年3月
言語習得におけるWH構文の問題を論理構造の側面から論じた。子どものWH構文の理解について扱った先行研究では、子どもが個体をリストする答えを過剰に用いることが指摘されており、この研究結果は大人のWH構文で1番目のWH要素が全称量化の働きをすることと一致していると考え、子どもは初期的にすべてのWH要素を全称量化の意味でとえらえている可能性を仮説として述べ、その考え方が言語獲得に及ぼす帰結を述べた。
‘Point of View’ and Phrase Structure
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin(TALKS)   (No.2) 49-60   1999年3月
日本語の「てしまう」を含む文の文法的・意味的特性を論じた。「てしまう」はアスペクト(完了)の意味の他にモーダルの意味を持つ。特に「~は」でマークされた名詞句が現れた時、それが認識の経験者としての意味を持つことがあることを示し、トピックの「~は」との違い、複数の「~が」名詞句との共起などについて述べた。
'Multiple sluicing' in Japanese and the Functional Nature of wh Phrases
Journal of East Asian Linguistics   Vol.7(No.2) 121-152   1998年3月   [査読有り]
日本語では「誰が何をか知らない」のように、複数のWH要素を残して、残りの文を省略する構文が可能である。英語でもこれと似た省略のパターンが可能である。本論では、この省略の現象を説明するためにはWH要素の「関数的」性質という概念に注目する必要があることを主張し、従来の統語的条件に基づく分析と比較している。また、同様の英語の現象は日本語の当該の現象と性質が異なることも示している。
On the wh-Island Condition.
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin(TALKS)   (No.1) 15-37   1998年3月
論理形式ではWH要素のスコープは「WHの島」と呼ばれる文法的制約に従う必要がないと考えられてきた。この論文では、英語と日本語の関連する構文を再検討し、問題の現象は実はWH要素自体が制約を破って広いスコープを取るのではなく、疑問文である補文の中で相対的に広いスコープを取ることが結果的に従来言われている現象につながっていることを主張し、論理構造に根ざす概念を用いて説明する方向を提案した。
スルーシングと文法―論理構造の対応
言語と文化の対話      1997年6月
「スルーシング」と呼ばれる省略現象について、日本語と英語の当該の現象の文法と論理構造について考察した。特に、数量詞のスコープとの関連について論考し、不定名詞句の解釈と統語的構造のドメインの対応関係について新しい知見をもたらした。
WH要素の「関数的」解釈について
Shoin Literary Review   (No.30) 37-56   1997年3月
WH要素が数量表現や他のWH要素と共起した時に見られる「関数的」解釈について考察し、構造的な条件だけでなく、意味タイプに基づく依存関係に言及する制約の必要性を主張し、「なぜ」を含む構文の問題点に新しい視点を示した。
言語研究の考え方と言語習得の研究
言語と文化の諸相   57-74   1996年6月
「文法」を言語知識の体系と考える現代の文法理論の基本概念を論じ、それを例示するいくつかの事実を指摘。さらに現代の言語獲得の考え方を論じてそれに関わるいくつかの原則を議論した。子どもの発話に見られる非文法的と思われる文に対する考え方を論じ、日本語の格助詞の獲得について実例に基づいて議論した。
文法理論と言語獲得理論
Kansai Linguistic Society   Vol.20    1995年11月
子どもの格助詞の獲得の問題と、最近の文法理論における格付与の理論について論考した。特にFukui and Nishigauchi(1993)の理論的意味と言語獲得に与える帰結を論じ、それ以後に出された格付与の理論と比較検討した。
Long Distance Passive.
Japanese Syntax in Comparative Grammar.ed.by Nobuko Hasegawa   79-114   1993年6月   [査読有り]
日本語の不定詞構文に相当する「食べ終え」「書き続け」などの構文について、その統語的構造と意味的な特性を論じた。特に「~終え」はコントロール構文、「~かけ」「~すぎ」などは繰り上げ構文、「~続け」などはその両方があることを論じ、それらの統語的特性が受動文の多様性に対応していることを示した。さらに、そのような構文上の特性をとらえる文法理論の原理を提案した。
日本語の格付与の文法と言語獲得理論
上智大学言語学会会報   Vol.8 160-172   1993年6月
子どもの格助詞の獲得の問題を、Fukui and Nishigauchi(1993)(下に記載)の理論的枠組みで論じた。「が」「の」は機能範疇によって認可されるディフォールの格であるという考え方が、子どもの発話において「が」「の」が過剰に一般化して用いられる現象と一致していることを主張し、他のアプローチとの比較を示した。
Head Movement and Case-Marking (with Naoki Fukui)
Journal of Japanese Linguistics   Vol.14 1-35   1992年12月   [査読有り]
主に主格、対格など構造格の認可(付与)について、統語的派生における主要部の移動との相互作用について論じた。対格、与格は主要部の動詞の特性によって決定されるが、「が」「の」はそれぞれInfl,Detという機能範疇によってディフォールトの格として認可されることを主張し、この分析がさまざまな構文に有効であることを示した。
Syntax of Reciprocals in Japanese.
Journal of East Asian Linguistics   Vol.1(No.2) 157-196   1992年10月   [査読有り]
日英語の「相互表現」の文法と論理構造を分析した。相互表現の照応詞である「おたがい」と(助)動詞の「~あう」について、その意味的特性がそれぞれ英語のeach…the otherとeach otherに対応することを示し、「おたがい」が束縛条件のAに従う照応詞であるのに対し、「~あう」の特性は演算子による束縛関係として捉えるべきであることを主張し、その統語的構造を提案した。
日本語の非対格構文とθ理論
言語文化学   Vol.1    1992年3月
「ドアがあいた」などのいわゆる非対格構文について、主格の名詞句はS構造への派生の過程で移動を受けたとする分析に対し、実はS構造でもV′の中の位置に留まっているという分析を提案し、それを支持する証拠として格助詞の省略、PROが現れえないことなどを示した。一見して行為者としての意味関係を持つ項については、それのための独自の範疇の投射が存在することを主張した。
Construing WH.
Linguistic structure and logical structure : Crosslinguistic perspectives ed. by Robert May and James Huang.   197-231   1991年10月
「誰が来ても…」といったタイプの文では、WH表現は「疑問代名詞」としてではなく、「普遍数量詞」(の一部)として働いていると考えられる。この論文では、このような現象を、「も」「か」という数量的表現がLFのレベルでWH表現の数量的意味を、ある限定された構造的条件で、決定する、という分析を示した。以前の版以後に発表された論文(Fukui,Reinhartなど)に言及して理論的関連性などを論じている。
「原則とパラメータ理論の対照研究」
『応用言語学の研究』JACET応用言語学研究会編   89-98   1990年7月
上記のSyntax of Reciprocalsのもとになった論文である。日本語と英語の相互表現を比較し、抽象度の高い見方をとれば、両言語の当該の構文は一見するよりも類似していることを示し、原則とパラメータ理論の基本的な考え方を述べた。
Two types of Q.binding.
上智大学言語学会会報   Vol.3    1988年10月
自然言語の数量的表現には、everyなど、それ自体内在的に数量的意味が備わっているものと、英語の不定名詞句や日本語の無冠詞名詞句などのように、外側に現われる数量的表現によってその数量的意味が決定されるものがある。この2種の数量的束縛関係は(i)数量的意味;(ii)選択性;(iii)スコープ関係;(iv)局所性に関して異なった特性を持っており、従って、自然言語の論理形式を派生する過程には2つの数量的束縛関係を認めなければならないことを示した。
Some observations on naze.
Metropolitan Linguistics.   (7) 21-32   1987年10月
本論では、他のWH表現が数量詞としてのはたらきを持つのに対し、「なぜ」の特性を、文演算子(sentential operator)として捉え、その数量詞との異質性が上記の事実だけではなく、(1)「も」と共起できない(「誰がきても…」vs.*「彼がなぜ来ても…」)(2) 他の数量表現とスコープの関係を持たない(3)他のWHと共起しにくいなどの事実を統一的に捉えることを示した。

競争的資金等の研究課題

 
日本学術振興会: 基盤研究C
研究期間: 2018年4月 - 2022年3月    代表者: 西垣内 泰介
モダリティと視点に関わる言語現象と統語構造の多層性
日本学術振興会: 基盤研究C
研究期間: 2016年4月 - 2020年3月    代表者: 遠藤喜雄
本研究は、従来は語用論,談話分析の研究対象であったモダリティおよび視点に関わる意味的な言語現象を,統語構造を細分化し,動詞の屈折に関わる領域(IP) および補文構造に関わる領域(CP) をそれぞれ複数の「層」からなる構造と考え,モダリティ・視点の現象をそれぞれの統語的な「層」と関連づけることで人間の言語の意味と構造の関係を明らかにすることを目標にしている。
「視点」とモダリティの 言語現象―「意識」、エンパシー、阻止効果―
日本学術振興会: 科学研究費補助金(基盤研究(C))
研究期間: 2014年4月 - 2016年3月    代表者: 西垣内 泰介
焦点・スコープ現象の統語・意味論的分析と音声実験・コーパス調査による検証
日本学術振興会: 基盤研究B
研究期間: 2009年4月 - 2012年    代表者: 西垣内 泰介
本研究は、「焦点」とスコープに関わる言語現象を取り上げ,形式化の整った統語論・意味論・音韻論の方法で理論的に分析するとともに,音声実験や言語コーパス調査などによって理論的考察を実証することを目的とする。具体的には,主題文,(指定的)分裂文など,様々な構文にあらわれる,いわゆるWH(疑問)要素,量化表現,否定対極表現などスコープに関連する統語・意味的要素と,イントネーションなど「焦点」に関する多様な音韻的要因の間の相互関係を分析し,統語論・意味論と音韻論との密接な関係を明らかにする。また,理...
レキシコンと文法の制約に関する総合的研究
日本学術振興会: 基盤研究B
研究期間: 2005年4月 - 2008年3月    代表者: 西垣内 泰介
レキシコンと文法の制約について、文法論、形態論、意味論、音声音韻の各分野で理論的研究を行い、国会議事録などの発話コーパスを用いて実証的な研究を行った。具合的には述語の語彙的特性と再帰表現の単文内での束縛関係といわゆる長距離束縛の関わり を示した。平成20 年度の最後にあたってレキシコン、文法の制約が同一指示の現象に関与する諸相についての国際ワークショップを行った。

講演・口頭発表等

 
Reason and Cause in perspective
Taisuke Nishigauchi
Workshop "Logophoricity and perspectivization in Wackershofen"   2018年10月   University of Stuttgart
The syntax behind the concealed question
Taisuke Nishigauchi
Olinco 2018 (The Olomouc Linguistics Colloquium)   2018年6月7日   Palacký University
The Logophoric Hierarchy as Seen from the Point-of-View Projections
Symposium on Formal Approaches to Subjectivity and Point-of-View, the 155th meeting of the Linguistic Society of Japan, Ritsumeikan University,   2017年11月27日   
潜伏疑問の統語構造
日本英語学会35回大会シンポジウム『意味と統語構造のインターフェイス』   2017年11月   日本英語学会
「非飽和名詞」を含む構文の構造と派生
「日本語疑問文の通時的・対照言語学的研究」研究発表会   2015年3月15日   金水敏

Misc

 
Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin   (15) 141-147   2012年3月
このリポートは私立大学情報教育協会平成23年度 ICT 利用による教育改善研究発表会 (2011 年 8 月 於・東京理科大学) で「CLiCKS: iPhone を活用する英語学習・学生生活支援システム」として口頭発表した内容に画像などを加えたものである。日頃の CLiCKS 運用においてもそうだが、この文章を準備するにあたって田中美奈氏の助言に負うところが大きい。ソーシャル・グラフは阿部雄一郎氏の作成による。
(解説)原則とパラメータの理論―日英語のWH構文をめぐって―
大航海   (No.23) 71-79   1998年7月
原則とパラメータの理論が諸言語の間の差異よりも共通点に着目して人間の言語の特性を明らかにしようとすることを、日本語と英語のWH構文の特性を概観することによって解説した。
(解説)「言語の知識」
新・認知心理学講座第3巻『言語』第1章   13-36   1995年5月
人間の言語知識を心理的実在としてとらえ、それを理論的に表現する考え方を解説した。特に「原理」と「パラミタ」という考え方を、「規則」に基づく体系と比較し、従来の句構造の体系とX′理論の違いを例にとって議論した。
(書評)書評M.Diesing : Indefinites.
英文学研究   (71) 50-56   1994年
Molly Diesingの著書Indefinitesについて書評した。特に同書の不定名詞句が存在量化の意味を持つ場合の「基数的」「前提的」用法の区別に注目し、それが日本語の不定名詞句の解釈にも興味深い帰結を与えることを示した。
(解説)「ことばとこころ―新しい言語研究の考え方―」
『研究のフロンティアと21世紀への提言』第24回大阪大学開放講座   99-109   1992年11月
大阪大学開放講座で行った講演の要旨。「文法」を言語知識の体系と考える現代の文法理論の基本概念を論じ、それを例示するいくつかの事実を指摘。さらに現代の言語獲得の考え方を論じてそれに関わるいくつかの原則を議論した。

研究分野

 
 
  • 言語学 / 言語学 / 理論言語学,統語論,意味論,日英対照文法論