2016年4月 - 2020年3月
増殖因子―細胞間結合分子クロストークによる歯原性上皮・間葉細胞の分化機構の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
これまでギャップジャンクションを介した歯および唾液腺の器官形成に及ぼす役割解明を行なってきた。特に唾液腺においては、間葉組織から誘導されるFGF-10シグナルが、上皮細胞に十分伝達できないことを、上皮細胞のERK1/2のリン酸化レベルを指標に明らかにしてきた。しかしながら、ギャップジャンクションの機能阻害のために、ギャップジャンクションの機能抑制を行なう18alpha-GAやoleamideを用いて行なってきたが、これらの小分子化合物は全てのギャップ結合を阻害するため、個々のギャップジャンクション分子の機能同定には至っていなかった。そこでコネキシン43やパネキシン3の発現抑制siRNAや機能阻害ペプチドを用いて検討した結果、18alpha-GAやoleamideを用いた結果と同様の結果が得られたこと、さらに歯胚上皮にはコネキシン43が強く発現し、他のギャップジャンクション分子の発現は少ないことが、single cell解析で明らかとなった。
また歯胚由来上皮細胞を用いた解析により、TGF-beta1刺激によるアメロブラスチン発現誘導に関して、ギャップ結合阻害剤やコネキシン43発現抑制細胞において、アメロブラスチンの転写に関わるRunx2のリン酸化が低下していること、またRunx2のリン酸化はERK1/2によって行なわれていることを確認した。さらにリン酸化レベルの低下したRunx2には、TGF-beta1によって誘導されたリン酸化Smad2/3と結合していないことがわかった。したがって、今後はどのようにしてギャップジャンクションの機能抑制によりERK1/2がリン酸化されないのかを明らかにする必要があると考えられた。
また歯胚由来上皮細胞を用いた解析により、TGF-beta1刺激によるアメロブラスチン発現誘導に関して、ギャップ結合阻害剤やコネキシン43発現抑制細胞において、アメロブラスチンの転写に関わるRunx2のリン酸化が低下していること、またRunx2のリン酸化はERK1/2によって行なわれていることを確認した。さらにリン酸化レベルの低下したRunx2には、TGF-beta1によって誘導されたリン酸化Smad2/3と結合していないことがわかった。したがって、今後はどのようにしてギャップジャンクションの機能抑制によりERK1/2がリン酸化されないのかを明らかにする必要があると考えられた。
- ID情報
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- 課題番号 : 16H05548
- 体系的課題番号 : JP16H05548