基本情報

所属
金沢大学 医薬保健学域 薬学系 炎症記憶制御学 教授
熊本大学 発生医学研究所 客員教授
順天堂大学 大学院医学研究科 非常勤講師
学位
博士(薬学)(2008年3月 熊本大学)

J-GLOBAL ID
201601014252541181
researchmap会員ID
7000016760

外部リンク

 生体は、感染やストレス、加齢などの多様な刺激に日々さらされています。これらの経験は一過性の応答にとどまらず、細胞に「記憶」として蓄積され、個体の体質や疾患感受性を規定する可能性があります。しかしながら、このような炎症の履歴がどのように細胞に刻まれ、長期的な生体機能に影響を与えるのか、その分子基盤は未だ十分に理解されていません。私はこれまで、この問いに対して多角的に取り組んできました。大学院では、感染に応答するシグナル伝達及び転写制御機構の解明に取り組み、炎症応答の基盤となる分子ネットワークの理解を進めました(FEBS J, 2007; JBC, 2008, 2015)。その後、生理活性脂質の研究を通じて、炎症を制御する新たな分子機構を明らかにしてきました(FASEB J, 2016; Sci Rep, 2016, 2017; JCI Insight, 2018; Cell Mol Immunol, 2021)。さらに近年では、マクロファージの機能多様性とそのエピゲノム制御に着目し、ヒストン脱メチル化酵素KDM7Aが線維化マクロファージの形成を抑制することを見出しました(Trends Cell Biol, 2020; Cancer Sci, 2021; Cell Rep, 2024; Commun Biol, 2026)。これらの研究は、炎症応答が単なる一過性の現象ではなく、細胞状態の長期的な変化として維持されうる(記憶される)ことを示唆しています。

 私は現在、炎症経験を有する細胞を可視化・操作可能な遺伝子改変マウス(Inflammation-dependent activation of labeling and depletion system mouse: IDEALマウス)を用いて、炎症の記憶がどのように体質を形成し、疾患発症に寄与するのか解明することを目指しています。さらに、この「炎症記憶」という視点を基盤として、難治性疾患に対する新規創薬戦略の構築に取り組んでいます。特に、遺伝性腎炎であるアルポート症候群や神経変性疾患であるアルツハイマー病に焦点を当て、分子病態の解明から治療法の創出へと展開していきます。これらの研究の背景には、身近な人がこれらの疾患に罹患し、有効な治療法が限られているという現実を目の当たりにした経験があり、その克服に貢献したいという強い思いがあります。本研究室では「炎症記憶」を軸とした体質形成の分子基盤の解明と、それに基づく創薬応用を目指し、日々、研究に取り組んでいます。


委員歴

  1

主要な論文

  88

MISC

  50

書籍等出版物

  3

講演・口頭発表等

  4

共同研究・競争的資金等の研究課題

  13