MISC

2009年

術中止血困難な急速大量出血例に対するダメージコントロール時の圧迫留置ガーゼの留置期間とガーゼ感染

日本消化器外科学会雑誌
  • 森脇 義弘
  • ,
  • 杉山 貢
  • ,
  • 小菅 宇之
  • ,
  • 鈴木 範行

42
11
開始ページ
1652
終了ページ
1657
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.5833/jjgs.42.1652
出版者・発行元
一般社団法人日本消化器外科学会

急速大量出血時には,アシドーシス,低体温,凝固障害が悪循環を形成し(lethal triad),ガーゼ圧迫留置などで対応しICUでの代謝失調補正に引き継ぐダメージコントロール(damage control;以下,DC)を要する.止血には長時間のガーゼ留置が有利だが,ガーゼ感染も懸念される.感染に対する安全性と限界を検討した.方法:腹腔内出血に対しDCとしてガーゼ圧迫留置法を施行,再手術でガーゼを除去しえた出血性ショックを伴う消化器・腹部手術24例を対象とした.除去ガーゼの細菌培養検査を行い,ガーゼ留置時間などとの関係を検討した.結果:ガーゼ留置は平均64.9時間,ガーゼの塗沫検査は全例陰性,培養検査は50.0%で陽性であった.術後1か月間の感染性合併症併発は16例,腹腔内感染は10例で,併発率は培養陽性例で高い傾向にあった.培養陽性例のガーゼ留置時間は陰性例よりも長かった(P=0.043).培養陽性率は36〜96時間留置では一定,36時間未満で低値,97時間以上で高値の傾向にあった.97時間以上留置5例の陽性率は36〜96時間の15例より高い傾向(P=0.053),121時間以上の3例の陽性率(100.0%)は36〜120時間留置17例(47.1%)より有意に高値であった(P=0.009).初回手術時に消化管破綻のあった症例は培養陽性率が高い傾向にあった.結論:術中止血困難な急速大量出血例でのガーゼ圧迫留置で,止血とガーゼ感染防止の両立には,ガーゼは96〜120時間以内に除去すべきと思われた.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.5833/jjgs.42.1652
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007467472
ID情報
  • DOI : 10.5833/jjgs.42.1652
  • ISSN : 1348-9372
  • ISSN : 0386-9768
  • CiNii Articles ID : 110007467472
  • SCOPUS ID : 75649141591

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