2015年
Knowing the Unknown and Leaving Neurosis:Psychotherapy Using Dream Analysis for a Woman Who Wanted to Accept What She Could not Accept
箱庭療法学研究
- 巻
- 28
- 号
- 1
- 開始ページ
- 69
- 終了ページ
- 78
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.11377/sandplay.28.1_79
- 出版者・発行元
- 日本箱庭療法学会
神経症の病理はある種の"知"をめぐる問題として捉えられる。それゆえに,神経症者がその膠着した世界から出立するためには,知っているはずの知らないことを真に知るということが重要となる。本研究では,こうした問題意識のもとに,認めたくない自分を認めようと来談した女性との夢分析を用いた心理療法を取り上げ,考察を試みた。知っているべきことを知らないことによって,クライエントは心理学的な意味での無垢な子どもであり続け,成熟し自立することが妨げられていた。しかし,その神経症的構造がまさにその神経症的な行為によって逆説的に崩壊し,彼女は知らないものと接触し,変容することを強いられた。こうした変化に伴い,彼女は次第に無垢で無疵であり続けることへのこだわりを手放し,拒絶してきた女性性を受け入れていった。最終的に彼女は,疵あるものとして自らの人生を受け入れることで,心理療法を終えていったのだと考えられた。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11377/sandplay.28.1_79
- ISSN : 0916-3662
- CiNii Articles ID : 130005124678
- identifiers.cinii_nr_id : 9000314803867