2018年3月
高速フラーレンクラスターイオン照射によるPVDF膜のイオントラックエッチング
QST-M-8; QST Takasaki Annual Report 2016
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- 英語
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C$_{60}$クラスターイオンを照射にしたPVDF膜のトラックエッチングに関し、炭素の単原子イオン照射との比較を通して検討した。まず、PVDF膜に対し、6MeVのC$_{60}$$^{+}$(単原子当たり100MeV)及び、100MeVのC$^{+}$イオンをそれぞれ照射し、同条件でエッチング処理を行った。SEM及びAFM観察の結果、C$_{60}$$^{+}$クラスター照射したPVDF膜には、底面が平らな直径400nmで深さ250nmのトラックエッチングされた穿孔が一面に形成されていた。一方で、単原子照射した試料には穿孔だと断定できない不定形で小さな凹部しか見られなかった。またC$_{60}$$^{+}$クラスター照射の場合、穿孔径はエッチング時間に伴って拡大した。PVDF膜の穿孔径がC$_{60}$$^{+}$クラスター照射によって拡大することを確認したことから、複数のイオンが局所的かつ同時に衝突することでイオントラックのエッチング可能な領域が拡大することがわかった。