MISC

2012年3月

日本とスウェーデンの援助規範意識比較に関する研究 : 福祉政策に影響する両国の援助規範意識の特性に着目して

生活科学研究
  • 星野 晴彦
  • ,
  • 大塚 明子
  • ,
  • 秋山 美栄子
  • ,
  • 森 恭子

34
開始ページ
27
終了ページ
36
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
文教大学

本稿は、日本とスウェーデンの福祉政策の前提となる国民の意識について比較調査を行なった結果を示す。調査では、以下のことが示唆された。日本人回答者の回答傾向は、人からの世話を受けたことへの返済に力を注ぎ、しかし他者に委ねることは良くないと、柔軟性に乏しく考える傾向がある。そして不特定多数の人への救済はスウェーデンより低くなる、というものである。他方でスウェーデン人回答者の回答傾向は、不特定多数の人への博愛性が強く、また相手の好意は、淡々と返そうとする。そして他者に安易に甘えてはいけないと考えつつも、本当に自分たちが困っているのであれば他者に援助を委ねることも許容するという柔軟性が認められる。そして、援助する者、される者の関係の対等性を重視する。加えて援助によるメリットがあることも否定しない、というものである。 法制度や政策は皮相的に捉えるのではなく、国民の意識構造を認識して有機的に検討していくことが必要となろう。決して日本人回答者では援助をする意識が無いわけではなく、意識の構造が異なるのではないか。ただし、その意識構造の差異を認識することがきわめて重要な出発点となると考えられる。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/120005262710
URL
http://sucra.saitama-u.ac.jp/modules/xoonips/detail.php?id=BKK0002444
ID情報
  • ISSN : 0285-2454
  • CiNii Articles ID : 120005262710

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