受賞

2009年4月

科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)

文部科学省
  • 大薮修義
  • ,
  • 森崎友宏
  • ,
  • 増崎 貴
  • ,
  • 坂本隆一

タイトル
核融合炉への新たな道を拓く超高密度 プラズマの研究
受賞区分
その他
受賞国・地域
日本

エネルギー問題解決策の中で有力候補とされる核融合発電では、高温・高密度のプラズマを定常的かつ安定に保持する必要があります。我が国独自のアイデアに基づき、技術の粋を集めて建設された大型ヘリカル装置(LHD)の場合、プラズマの定常性と安定性については既に実証されていますが、プラズマの温度と密度に関しては、より高い値の実現が求められていました。
大藪氏らは、プラズマと真空容器壁の間に存在する中性粒子を排気して、中心部に効率よく高温高密度プラズマを生成することを提案し、独創的アイデアに基づく新型排気装置を考案・製作しました。LHDの実験でこの提案は実証され、これまで核融合に必要とされていた中心密度100兆個/ccを大きく上回る、500兆個/ccを超える超高密度プラズマの生成に成功しました。この時、プラズマの内部に、「内部拡散障壁」と名づけられた急峻な密度勾配が形成されることが見出されました。この発見は、超高密度プラズマを用いた、従来に比べて比較的低いプラズマ温度の、従ってより実現し易いLHD型核融合炉への新たな道を拓くものです。核融合によるエネルギー供給の早期実現に寄与することが期待されます。現在ではさらに研究が進み、中心密度の最高値は1200兆個/ccに達しています。