共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

局所的ゲノム編集とウイルストレーシング法を用いた細胞種特異的な視覚情報処理の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
  • 沖川 沙佑美

課題番号
19J14434
配分額
(総額)
2,100,000円
(直接経費)
2,100,000円
(間接経費)
0円

網膜から脳への情報伝達を担う神経節細胞 (RGCs) は、40種以上のサブタイプが存在し、各々異なる機能を担う。視覚認知を担うイメージ形成では、RGCsが生み出す情報は視床の外側膝状体背側核(dLGN)を経由し、大脳皮質一次視覚野(V1)の第1層あるいは第4層に送られる。加えて生理機能を担う非イメージ形成では、内因性光感受性RGCs (ipRGCs) が関与し、サブタイプ特異的に投射先が異なる。概日リズムに関わるipRGCsは視交叉上核や膝状体間葉 (IGL) へ、瞳孔反射に関わるipRGCsはオリーブ視蓋前域や外側膝状体腹側核 (vLGN) へ投射する。
多様なRGCsを起点とした並列階層的な回路構造、またこれらが生み出す視覚情報の分離・抽出に関しては多くの研究がなされてきた。しかし、網膜からV1への情報伝達を経由するdGLN core領域において、視覚情報とそれ以外の様々なモダリティがどのように統合されるかは明らかでない。そこで我々は、dGLN core領域における情統合機構を解剖学的に明らかにするため、2種のウイルスベクターを駆使することで神経回路構造を細胞種レベルで解析した。その結果、dLGN core 領域特異的に入力する細胞群の標識および細胞種の同定に成功した。
dLGN core領域の興奮性relay細胞への入力は、RGCsやV1第6層細胞からだけではなく、感覚機能や運動情報との統合を担う上丘の上層および中間層、非イメージ形成に関与するvLGNやIGL、視蓋前核からの入力が存在することが明らかとなった。本解剖学的研究より、視覚系初期段階のdLGN core領域は、視覚情報伝達を単に経由するだけではなく、イメージ形成と非イメージ形成視覚情報や、運動情報との連関シグナル、注意シグナルなどを含むマルチモーダルな情報を統合する役割を持つことが示唆された。

ID情報
  • 課題番号 : 19J14434