共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

震災復興過程における育児困難感を軽減するソーシャルサポート要件

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K12615
体系的課題番号
JP17K12615
配分額
(総額)
3,250,000円
(直接経費)
2,500,000円
(間接経費)
750,000円

東日本大震災被災地では、8年が経過した現在も復興工事が行われており、生活環境の変化が続いている。本年度は、岩手県気仙地域において、子育てやソーシャルサポート獲得の現状を把握するため、量的調査および質的調査を実施した。
量的調査では、子育ての現状、家族、友人、近隣住民などからの育児に関するソーシャルサポート獲得状況、育児困難感の有無とその理由などについて、郵送式自記式質問票調査を実施した。958世帯に質問票を送付し、現時点で517世帯(回収率54.0%)から回答を得ている。回収期間終了後、分析を進めていく。
質的調査では、乳幼児をもつ母親を対象にインタビューを実施した。社会的背景が異なる母親の子育ての現状を把握するため、夫婦共働きでフルタイム勤務にて就労している母親へのインタビュー、また子育て支援施設においてフォーカスグループインタビューをそれぞれ実施した。インタビューでは、子どもと気軽に遊びに行けるような遊び場や公園など子どもを安心して遊ばせることが出来る場所が少ないこと、急に子どもが病気になった際でも利用できる病後児保育への要望が多く挙げられた。また、祖父母との同居あるいは親族が近隣にいる世帯が多い一方、子育て世代の転入者が増えている現状があり、転入世帯で近隣に親族が全く居ない場合は夫婦のみで子育てせざるを得ず、子育てに関するサポートを得ることが困難であることが語られた。さらに夫婦共働きの場合は、延長保育が限られることや、同世代の子育て中の母親と知り合う機会が少ないことなど、フルタイムで働く共働きの母親が抱える困難な点が語られた。
これらのことから、転入世帯や共働き世帯など、子育てに関するサポートを得ることが困難な状況にある母親が少なからず存在していることが明らかとなり、支援者側は様々なニーズに対応できるよう考慮するとともに、更なる対策を講じる必要性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K12615
ID情報
  • 課題番号 : 17K12615
  • 体系的課題番号 : JP17K12615