MISC

2021年

ガラスキャピラリーを用いた着床前胚の簡易なライブセルイメージング技術の開発

日本繁殖生物学会 講演要旨集
  • 菊池 康之
  • ,
  • 若山 清香
  • ,
  • 大我 政敏
  • ,
  • 若山 照彦

114
開始ページ
P-53
終了ページ
P-53
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14882/jrds.114.0_p-53
出版者・発行元
公益社団法人 日本繁殖生物学会

【背景】ライブセルイメージング技術は着床前胚を非侵襲的に評価することが可能であり,ヒトを含め多くの哺乳類で使用されている。しかし,ライブセルイメージング機器は高額であり,どの研究室でも購入して実施できる一般的な解析手段にはなっていない。本研究では,我々が以前開発したCO2インキュベーターを用いない密閉系での培養システムを,観察かつ密閉が可能なガラスキャピラリーと組み合わせ,簡易なライブセルイメージング技術の開発を試みた。【方法】CO2分圧を最適化した培地を用意し,胚とともにガラスキャピラリーに封入した。市販のガラスキャピラリー6種を使用し,培養に最適なものを決定した。決定したガラスキャピラリーを使用し,顕微鏡にセットしたサーモプレート上で,キャピラリーの保温条件および観察方法を検討した。最後に,顕微鏡に市販のタイマー式電源スイッチを取り付け,顕微鏡全体を暗幕で覆い,30分に1回のタイムラプス撮影による1細胞期から胚盤胞までのライブセルイメージングを試みた。【結果】サーモプレート上に直にガラスキャピラリーを置くと,キャピラリー内の胚をはっきりと観察できず,培養もできなかった。しかし,ディッシュにオイルを張り,その中でキャピラリーを保温したところ,キャピラリー内の胚を鮮明に観察することが可能になっただけでなく,胚盤胞へ発生させることにも成功した(65%)。また,タイムラプス撮影によるライブセルイメージングを行った結果,発生率は低下してしまった。【考察】本研究では,従来高額な機器を必要としたライブセルイメージングを低コストで実施することに成功した。この技術は胚培養が行える研究室には常備されている器具を組み合わせて用いるため,多くの施設ですぐに実施することが可能である。今後は発生率の低下の原因と考えられる温度管理や光の影響を減らすことで改善を試み,本培養法とライブセルイメージング機器であるCV1000(横河電機)での培養と比較し,発生速度および移植による産仔率の正常性を検証する。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14882/jrds.114.0_p-53
CiNii Research
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390008222263258496?lang=ja
ID情報
  • DOI : 10.14882/jrds.114.0_p-53
  • CiNii Articles ID : 130008103937
  • CiNii Research ID : 1390008222263258496

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