2020年2月
シロイヌナズナ由来MBW複合体関連遺伝子が導入されたユリ'アカプルコ'形質転換体の形質調査
新潟大学農学部研究報告 = Bulletin of the Faculty of Agriculture, Niigata University
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- 巻
- 72
- 号
- 開始ページ
- 1
- 終了ページ
- 6
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 新潟大学農学部
花き園芸植物において、花色や葉色は重要な形質である。アントシアニン類は花色や葉色を決定する主要な色素であり、それらはフラボノイド生合成経路により合成される。R2R3-MYB タンパク質、bHLH タンパク質およびWDR タンパク質は、複合体(MBW 複合体)を形成し、フラボノイド生合成酵素遺伝子の転写を活性化することが知られている。本研究では、MBW複合体関連遺伝子を用いた形質転換によるユリ' アカプルコ' の花色および葉色の改変を目的として、シロイヌナズナ由来MBW 複合体関連遺伝子が単独または複数組み合わせて導入された形質転換体の形質調査を行った。一部の形質転換系統では、小植物体の栄養器官が薄赤紫色または濃赤紫色に変化していた。これまでに4系統の形質転換体が開花に至ったが、bHLH 遺伝子が単独で導入された2系統の形質転換体においては、非形質転換体と比較して花被色が濃くなっていた。形質転換体の花被におけるアントシアニン類の定量分析を行ったところ、色が濃く変化した花被の総アントシアニン含量は非形質転換体と比較して有意に増加していた。これらの結果から、外来MBW 複合体遺伝子の異所発現により、小植物体の栄養器官や花被における内生フラボノイド生合成酵素遺伝子の転写が活性化され、アントシアニン類の生合成および蓄積が促進されたと考えられる。本研究により、MBW 複合体関連遺伝子を用いた形質転換によるユリの花色および葉色の改変の可能性が示された。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0385-8634
- J-Global ID : 202002214698965814
- CiNii Articles ID : 120006822992
- CiNii Books ID : AN00183393