2020年7月 - 2023年3月
一細胞解析による肺炎球菌感染時の宿主転写応答の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
口腔レンサ球菌の一種である肺炎球菌は、肺炎の主たる起因菌である。肺炎球菌性肺炎では、宿主の過剰な炎症応答が組織を破壊し、菌が深部へ伝播すると考えられている。一方で、感染によりどのような細胞集団が遊走されるか、また細胞集団が感染にそれぞれどのように応答しているのか、詳細な情報は今まで明らかとなっていない。本研究は、感染によって引き起こされる宿主のRNA転写およびゲノムワイドのオープンクロマチン領域の変化を細胞集団ごとに解析することで、これまでにない精度での宿主応答の解明手段の確立を試みるものである。
今年度においては、マウス肺炎モデルから得た肺胞洗浄液について、細胞デブリを密度勾配遠心により除き、死細胞を磁気標識してマグネットを用いて除去することを試みた。しかし、シングルセル解析を実施するのに十分な数と品質の細胞を確保することができなかった。肺胞洗浄液ではなく、肺全体を懸濁することも視野に入れ、引き続き細胞の回収方法を検討する。さらに、感染時には血液から感染局所に炎症細胞が遊走すると考えられることから、必要に応じて血液を検体としてシングルセル解析を試みる。
また、半数致死量以下の菌数を感染し、感染後の肺組織について炎症応答を解析したところ、炎症性サイトカイン量は感染前と比較して有意な増加が認められないことが示された。一方で、肺組織中の好中球エラスターゼ発現細胞の割合は増加した。このことから、肺炎球菌は宿主の免疫細胞を介さずに直接的に好中球を活性化する可能性が示された。
今年度においては、マウス肺炎モデルから得た肺胞洗浄液について、細胞デブリを密度勾配遠心により除き、死細胞を磁気標識してマグネットを用いて除去することを試みた。しかし、シングルセル解析を実施するのに十分な数と品質の細胞を確保することができなかった。肺胞洗浄液ではなく、肺全体を懸濁することも視野に入れ、引き続き細胞の回収方法を検討する。さらに、感染時には血液から感染局所に炎症細胞が遊走すると考えられることから、必要に応じて血液を検体としてシングルセル解析を試みる。
また、半数致死量以下の菌数を感染し、感染後の肺組織について炎症応答を解析したところ、炎症性サイトカイン量は感染前と比較して有意な増加が認められないことが示された。一方で、肺組織中の好中球エラスターゼ発現細胞の割合は増加した。このことから、肺炎球菌は宿主の免疫細胞を介さずに直接的に好中球を活性化する可能性が示された。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K21675
- 体系的課題番号 : JP20K21675