共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年6月 - 2021年3月

細菌における新規翻訳制御機構の探索

日本学術振興会  科学研究費助成事業  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
19K22715
体系的課題番号
JP19K22715
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

化膿レンサ球菌はヒトの皮膚や上気道に感染し,主に局所性の化膿疾患を惹き起こす.続発症として,急性糸球体腎炎やリウマチ熱を起こすことでも知られている.本菌に対するワクチンは未だに上市されておらず,発症機構に基づく予防・治療法の開発が待ち望まれている.化膿レンサ球菌の初発感染部位である上気道や皮膚は,体内コア温度と比較して,低温となる傾向にあり,感染からヒト体内での定着と伝播の過程において,菌体周囲温度への適応が菌体の生存に重要であると推察される.また,菌体周囲温度に対応して選択的に遺伝子転写と翻訳を調節する可能性がある.これまで,化膿レンサ球菌が産生する菌体表層タンパク質に関する解析において,遺伝子発現量を調節する転写因子のmRNA量が培養温度の変遷により変化しないにも関わらず,翻訳量が変化するという現象を見出した.温度感受性の翻訳調節を担うmRNA部位として,mRNA翻訳開始部位の下流に位置するステムループ構造を明らかにした.同様の位置に推定ステムループ構造を有する遺伝子群を全遺伝子から抽出し,推定ステムループ構造ステムループを融解させる変異を導入した菌株の作製を行い,発現解析を行った.その結果,温度変化により翻訳効率が変化する因子群と変化しない因子群の存在が示唆された.また,mRNAの安定性に影響を与えるRNaseの一種について変異株の解析を行った結果,表現型とプロテオームに与える影響が明らかになった.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K22715
ID情報
  • 課題番号 : 19K22715
  • 体系的課題番号 : JP19K22715