共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

加齢による意思決定過程の変容に影響を及ぼす心理的・環境的要因の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K03308
体系的課題番号
JP20K03308
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本研究は、先の我々の挑戦的研究(萌芽)(17K18696)の発展的課題として、実験心理学と行動経済学の融合的アプローチにより、加齢による意思決定過程の変容を心理的・環境的要因の相互作用の観点から解明することを目的としている。曖昧さを伴う意思決定過程を調べる「アイオワギャンブリング課題」と利他的な意思決定過程を調べる「独裁者ゲーム課題」を主に用い、対象者を取り巻く環境要因や新たな行動、ならびに生理指標を用い、意思決定過程の包括的評価法の確立を目指す。
【実験心理学グループ】コロナ禍の影響もあり、高年者を対象とした意思決定(アイオワギャンブリング課題)の生理実験を実施せず、また、当初予定した、高次脳機能障害を有する方々の意思決定研究は、やむなく、研究プロジェクトから外すことに決定した。その代替として、健常若年者群と高齢者群に関する、意思決定実験の既存の生理データを用い、ストレス・情動の定常状態を反映する皮膚コンダクタンスレベルの比較検討を進めている。
【実験経済学グループ】個人の推論能力が他者への利他的な資源配分に及ぼす影響を、独裁者ゲームの実験を通して分析した。独裁者ゲームの実験方法としては、2人組のうちのどちらが独裁者であるかという情報を所与とし意思決定をさせる逐次選択法が一般的である。これに対して、被験者全員に「もし自分が独裁者だったらどう配分するか」と尋ね、回答後に独裁者を決定するのが戦略表明法である。本研究ではレベルK理論を適用することで、意思決定者の推論能力が高ければ、戦略表明法における他者への配分額は逐次選択法でのそれより低くなるという仮説を立てた。しかしながら実験の結果、他者への配分額と個人の推論能力との間には顕著な相関はなく、戦略表明法のほうが逐次選択法よりも他者への配分が大きい傾向にあることがわかった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K03308
ID情報
  • 課題番号 : 20K03308
  • 体系的課題番号 : JP20K03308