防錆剤を含む希釈人工海水中での$\gamma$線照射下炭素鋼腐食試験
放射線利用フォーラム2017 in 高崎 / 第1回QST高崎研シンポジウム
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- 開催年月日
- 2017年1月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 高崎
- 国・地域
- 日本
福島第一原子力発電所1-3号機では、デブリ取出し時にPCV内が大気開放されるため、防錆剤の使用が検討されている。そこで、$\gamma$線照射下で腐食試験を実施し、防錆剤の効果に対する$\gamma$線照射の影響を確認した。防錆剤にはタングステン酸ナトリウム(Na$_{2}$WO$_{4}$)、亜鉛/炭酸ナトリウム混合リン酸塩(MPCI)、亜鉛/モリブデン酸ナトリウム混合リン酸塩(MMPI)を用いた。また、各防錆剤に関して、照射下で自然浸漬電位を測定し、電位の変化に基づき防錆剤の照射下での効果を検討した。腐食試験の結果、Na$_{2}$WO$_{4}$では、5000ppm以上では腐食が抑制されることを確認した。MPCIおよびMMPIではすべての条件において腐食の抑制が確認された。電位測定において、Na$_{2}$WO$_{4}$では電位の大きな上昇が確認され、$\gamma$線照射下でも安定な不働態皮膜が形成され、腐食が抑制されたと考えられた。一方、MPCIでは、添加なしとほぼ変わらない電位が観測され、カソード反応とともに炭素鋼の溶出反応も抑制されて腐食が抑制されることが示唆された。MMPIでは若干の電位の上昇が確認され、リン酸塩によるカソード反応抑制よりも、モリブデン酸による溶出抑制が$\gamma$線照射下でも支配的に働いたと考えられた。