2012年12月
ヒドラジンによる人工海水中の溶存酸素低減に及ぼす$\gamma$線の影響
日本原子力学会和文論文誌
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- 巻
- 11
- 号
- 4
- 開始ページ
- 249
- 終了ページ
- 254
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.3327/taesj.J12.009
- 出版者・発行元
- Atomic Energy Society of Japan
東京電力福島第一原子力発電所の使用済燃料プールでは、ヒドラジンが、海水成分を含む使用済燃料プール水中の溶存酸素を減少させるために加えられた。放射下でのヒドラジンによる海水中の溶存酸素の低減挙動は未知である。そこで、ヒドラジンによる人工海水中の脱酸素に対する$\gamma$線照射の影響を室温で調査した。少量のヒドラジンを含有する人工海水に対して、0.3-7.5kGy/hの線量率で$\gamma$線を照射した。溶存酸素濃度とヒドラジン濃度を照射の前後に測定した。溶存酸素濃度は$\gamma$線非照射ではほとんど減少しなかったが、溶存酸素濃度は$\gamma$放射線時には著しく減少した。また、照射時間増大とともに減少した。その際、ヒドラジン濃度は溶存酸素濃度の2倍以上減少した。これは、ヒドラジンから$\gamma$線により生成した物質の一部が脱酸剤として作用していることを示すものである。人工海水中の溶存酸素の低減は、$\gamma$放射線により、室温にて微量のヒドラジン添加により達成できた。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.3327/taesj.J12.009
- ISSN : 1347-2879
- CiNii Articles ID : 130002149132