2019年8月
消化器癌による転移性尿管腫瘍の2例
西日本泌尿器科
- 巻
- 81
- 号
- 4
- 開始ページ
- 461
- 終了ページ
- 466
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 西日本泌尿器科学会
消化器癌を原発とする転移性尿管腫瘍の2例を経験したため報告する。【症例1】64歳、男性。2007年9月、下行結腸癌に対して下行結腸切除術を施行した。2014年、術後のCTで右尿管腫瘍を指摘され当科へ紹介となった。右尿管鏡検査時の生検病理結果より下行結腸癌の尿管転移と診断し、開腹腫瘍摘出術を行った。術後4ヵ月の時点で肝転移を認めたためTS-1 120mg内服療法を14ヵ月行い、様々な変更を経て現在はXELIRI + Bevacizumab療法8コース目を行っている。肝転移は緩徐に増大中である。【症例2】62歳、男性。2014年12月、多発胃癌に対して幽門側胃切除術、胆嚢摘出術およびRoux-en-Y再建術を施行し、術後TS-1 100mg内服療法を1年間行った。2017年、CTで右水腎症と尿管壁肥厚を指摘され、右尿管鏡検査を行うも狭窄が強く組織は採取できず、検査時の分腎尿細胞診はclass IVであった。再施行した右尿管鏡検査において狭窄尾側を生検したところ浸潤性尿路上皮癌の診断であったため、後腹膜鏡下右腎尿管摘除術を施行した。右尿管は腹膜およびS状結腸と著しく癒着し、漿膜ごと摘除した。病理結果は胃癌の右尿管転移であった。術後weekly PTX 100mgを開始したが骨転移の出現や腹膜転移の進行を認め、PTX + Ramucirumab 1コース施行した後に抗PD-1抗体180mgを5コース行ったが全身状態は徐々に悪化した。術後7ヵ月で緩和療法に移行し、術後11ヵ月で永眠された。転移性尿管腫瘍は術前生検しても診断が難しい場合がある。予後不良な疾患であり、悪性疾患の既往のある尿管腫瘍は転移性尿管腫瘍も鑑別に挙げる必要がある。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0029-0726
- 医中誌Web ID : T823210008
- J-Global ID : 201902285542411114