2017年8月
【細胞死のシグナルと内因性アジュバント】内因性アジュバントとしてのグルコシルセラミドの新たな機能
炎症と免疫
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- 巻
- 25
- 号
- 5
- 開始ページ
- 372
- 終了ページ
- 376
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (株)先端医学社
C型レクチン受容体の一つであるMacrophage-inducible C-type lectin(Mincle)は、死細胞を認識することが知られている。Mincleは病原体に特有な糖脂質を認識するが、死細胞由来のリガンドは不明であった。筆者らは、死細胞上清中よりグルコシルセラミド(β-GlcCer)をMincleの新たな内因性リガンドとして同定した。β-GlcCer分解酵素であるβ-glucosylceramidase/glucocerebrosidase(GBA1)の変異は、ライソゾーム病の一つであるゴーシェ病の原因となる。ゴーシェ病では、各組織で炎症性細胞の活性化がみられ、これが病態形成に寄与する可能性が示唆されてはいるが、β-GlcCerと炎症の因果関係は不明であった。筆者らは、GBA1欠損によって起こる、β-GlcCer蓄積に伴う炎症や獲得免疫応答の増強が、Mincleを介した経路によって担われていることを明らかにした。以上より、通常、細胞内代謝物として働くβ-GlcCerは、Mincleを介して免疫活性化能を発揮する、内因性アジュバントとして機能することが強く示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0918-8371
- ISBN : 9784865502848
- 医中誌Web ID : 2017341985