2018年4月 - 2021年3月
ハリオタマバエ類の複雑な寄主植物利用の実態解明および共生菌との関係の検証
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
タマバエ類は寄主植物の範囲が狭く、同一植物科に限られることが多い。しかし、例外的に複数科の植物に寄生する例が知られている。近年、福島県や宮城県で発生が認められるブドウミタマバエもその一種である。これには、共生糸状菌の関与が示唆されている。そこで、被害状況を明らかにするとともに共生菌の関与を検証し、害虫種の防除に活用できる基礎データを得ることを目的としている。
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H30年度は、6月に栃木県でブドウ果実を加害するタマバエが新たに発生したため、その同定を試みた。まず、栃木県日光市で採集されたタマバエのうち、雌雄成虫および蛹を検鏡し、形態的な特徴を確認した。成虫の触角や産卵管の形状や、蛹の頭部の突起の有無などが、ハリオタマバエ属の特徴と一致した。 そして、ミトコンドリアDNAのCOI領域のうち、バーコーディング領域の一部の配列を決定し、福島県や宮城県で得られたブドウミタマバエ、そして、日本産のハリオタマバエ属の複数種の配列と比較した。栃木県の個体と、福島県のブドウミタマバエの配列の差異は0~3塩基(0~0.49%)であり、種内変異の範囲であると考えられた。これらの結果から、栃木県で新たに発生したタマバエを、ブドウミタマバエであると判断した。この結果を受け、8月17日に栃木県からは特殊報第1号が発表された。なお、これまで発生している福島県では、ほとんど被害果実が認められず、発生が少なかったと考えられる。
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共生糸状菌に関しては、ブドウミタマバエ、キヅタツボミタマバエのゴールを採取して分離培養を試みたものの、残念ながら成功しなかった。ゴール内の幼虫が若齢であるなどの理由によりうまくいかなかったことが考えられる。次年度、異なる時期に採取して、分離培養を試みる。
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H30年度は、6月に栃木県でブドウ果実を加害するタマバエが新たに発生したため、その同定を試みた。まず、栃木県日光市で採集されたタマバエのうち、雌雄成虫および蛹を検鏡し、形態的な特徴を確認した。成虫の触角や産卵管の形状や、蛹の頭部の突起の有無などが、ハリオタマバエ属の特徴と一致した。 そして、ミトコンドリアDNAのCOI領域のうち、バーコーディング領域の一部の配列を決定し、福島県や宮城県で得られたブドウミタマバエ、そして、日本産のハリオタマバエ属の複数種の配列と比較した。栃木県の個体と、福島県のブドウミタマバエの配列の差異は0~3塩基(0~0.49%)であり、種内変異の範囲であると考えられた。これらの結果から、栃木県で新たに発生したタマバエを、ブドウミタマバエであると判断した。この結果を受け、8月17日に栃木県からは特殊報第1号が発表された。なお、これまで発生している福島県では、ほとんど被害果実が認められず、発生が少なかったと考えられる。
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共生糸状菌に関しては、ブドウミタマバエ、キヅタツボミタマバエのゴールを採取して分離培養を試みたものの、残念ながら成功しなかった。ゴール内の幼虫が若齢であるなどの理由によりうまくいかなかったことが考えられる。次年度、異なる時期に採取して、分離培養を試みる。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K05682
- 体系的課題番号 : JP18K05682