2021年8月
口腔癌Stage III、IV症例の臨床統計的検討
新潟歯学会雑誌
- 巻
- 51
- 号
- 1
- 開始ページ
- 31
- 終了ページ
- 38
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 新潟歯学会
口腔癌Stage III、IV症例について最近の動向と治療成績の把握を目的に臨床統計的検討を行った。対象は2007年1月から2019年12月までの13年間に新潟大学医歯学総合病院顎顔面口腔外科診療室を初診した口腔癌一次症例Stage III、IVの156例とした。調査項目は、性別および年齢、病期分類および年度別患者数、原発部位、病理組織学的分類、治療法、頸部郭清術式および頸部リンパ節転移様式、頸部リンパ節後発転移および再発の有無、治療成績および転帰とした。性別は男性88例、女性68例、平均年齢70.8歳(32〜92歳)、病期分類は、Stage III 38例、Stage IVA 85例、Stage IVB 32例、Stage IVC 1例で、原発部位は舌54例(34.6%)、下顎歯肉40例(25.6%)、上顎歯肉28例(17.9%)、口底17例(10.9%)、頬粘膜13例(8.3%)、下顎骨2例(1.3%)、硬口蓋および口唇がそれぞれ1例(0.6%)であった。病理組織学的分類は扁平上皮癌が149例(95.5%)、腺様嚢胞癌3例(1.9%)、粘表皮癌2例(1.3%)、腺癌、歯原性癌がそれぞれ1例(0.6%)であった。治療法は手術療法が84例(53.8%)で選択され、頸部郭清術は手術症例のうち62例(73.8%)で施行されていた。頸部リンパ節後発転移は10例(11.9%)に認め、再発は17例(20.2%)に認めた。治療成績は、全症例の5年累積全生存率が53.2%(Stage III 68.9%、Stage IV 47.8%)で、手術施行症例では73.0%であった。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0385-0153
- 医中誌Web ID : V908420004