共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

生ワクチン開発を目指した牛コロナウイルス感染マウスモデルの樹立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
20K15661
体系的課題番号
JP20K15661
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

【背景】
多くのコロナウイルス感染症において、病態再現小動物モデルは確立されていない。よって、種々のコロナウイルスに対する病態再現小動物モデルの確立は長年のコロナウイルス研究における課題の1つとして考えられてきた。すなわち、コロナウイルスの病態再現小動物モデルが確立されたならば、コロナウイルスの病態理解に大きく貢献することが予想される。また、マウスのゲノム編集技術を用いて病態再現マウスを樹立するのではなく、日本で販売されているコンベンショナルマウスを用いてコロナウイルス病態再現マウスを確立できたのなら、汎用性と経済性の面で大きな利点が期待される。本研究では、成牛および幼牛に呼吸器症あるいは下痢症を引き起こす牛コロナウイルスに注目し、本ウイルスと乳飲みマウス(コンベンショナルマウスICR系統、2日齢)を用いて、牛コロナウイルス病態再現マウスモデルの確立を試みた。
【今年度の成果】
2020年に死亡した牛の血便由来である牛コロナウイルスの全塩基配列を解析した論文がMicrobiology Resource Announcementsに受理された。本年度は、本牛より分離した牛コロナウイルス(1.8×10,000 PFU/匹)を2日齢の乳飲みマウス(ICR系統、10匹)に経口投与し、乳飲みマウスが下痢症を引き起こすか否かを検証した。その結果、培養上清を接種した非感染マウス3匹はいずれも症状を示すことはなかった一方、ウイルス接種マウス10匹中3匹が軟便を示し、また10匹中2匹が下痢症を呈した。これらウイルス接種マウスに見られた症状は一過性であった。また、それ以外のウイルス接種マウス5匹は軟便あるいは下痢症といった症状を呈することはなかった。これらの結果は、牛コロナウイルスが引き起こす下痢症を、マウスを用いることで部分的に再現できる可能性を示している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K15661
ID情報
  • 課題番号 : 20K15661
  • 体系的課題番号 : JP20K15661