2019年4月 - 2023年3月
フレイルとAMRの課題に対応する食品由来機能ペプチドを素材とした歯周病医薬開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
これまでの研究結果から,代表的な歯周病原細菌である<Porphyromonas gingivalis/i>および<Fusobacterium nucleatum/i>に大豆由来ペプチドが殺菌的な抗菌活性を示し,バイオフィルム形成を阻害することが明らかとなった。薬剤耐性菌の増加に対抗するためには既存抗菌薬の使用削減に加えて,狭域スペクトル抗菌薬の開発が必要とされている。そこで2021年度は,グラム陽性の口腔内常在菌である<Streptococcus mitis/i>に対する抗菌活性とバイオフィルムに与える影響について検討を行った。その結果,大豆由来ペプチドは<S. mitis/i>に抗菌活性を示さず,バイオフィルム形成を阻害しなかった。これらの結果から,既存のクロルヘキシジンと比較すると大豆由来ペプチドの抗菌スペクトルは限定的であることが示された。このメカニズムとして,グラム陽性細菌が有する厚い細胞壁によってカチオン性ペプチドが機能しにくいことが示唆される。
また,これら3種の菌からなる複合バイオフィルムに対する大豆由来ペプチドの作用を検討した結果,大豆由来ペプチドはバイオフィルム形成抑制効果を示さなかった。本モデルの結果からは,グラム陰性菌だけでなく,グラム陽性細菌に対する抗菌活性が複合バイオフィルム形成量の抑制には必要である可能性が示された。
しかしながら,臨床的なバイオフィルムはさらに多様で複雑な細菌叢を有するため,このようなグラム陰性特異的な抗菌薬が病態ならびに生体応答にどのような影響を与えるかについては更なる検討が必要である。
また,これら3種の菌からなる複合バイオフィルムに対する大豆由来ペプチドの作用を検討した結果,大豆由来ペプチドはバイオフィルム形成抑制効果を示さなかった。本モデルの結果からは,グラム陰性菌だけでなく,グラム陽性細菌に対する抗菌活性が複合バイオフィルム形成量の抑制には必要である可能性が示された。
しかしながら,臨床的なバイオフィルムはさらに多様で複雑な細菌叢を有するため,このようなグラム陰性特異的な抗菌薬が病態ならびに生体応答にどのような影響を与えるかについては更なる検討が必要である。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H03829
- 体系的課題番号 : JP19H03829