1999
塗装作業中における急性トルエン中毒死の1事例-1名死亡、2名生存の労災事故
法医学の実際と研究
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- Volume
- Number
- 42
- First page
- 167
- Last page
- 172
- Language
- Japanese
- Publishing type
- Publisher
- 法医学談話会
塗装作業現場において作業員3名が倒れているのが発見された.1名は死亡していたが2名は生命をとりとめた.死者(21歳男)の司法解剖では,急死の所見が認められた他には,死因となるような損傷も病変も認められなかった.剖検時採取した試料についてGC/MSによる検査を行った結果,全ての試料からトルエンが検出され,その他の有機溶媒成分は全く検出されなかった.GCによる諸試料のトルエン濃度測定結果は,血液で65.8μg/g(右心血),44.9μg/g(左心血),20.3μg/g(大腿静脈血),脳で437.9μg/g(脳幹),465.4μg/g(大脳)であり,致死レベルに達していたことから死因は急性トルエン中毒と判断された.また死者の膀胱内には410mlの尿が貯留しており,尿中馬尿酸濃度は82.9mg/mlと著しく高値であった.本事例において,死者は著しく高濃度のトルエン蒸気に長時間暴露された後死亡したものと推定された
- ID information
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- ISSN : 0289-0755
- Ichushi Web ID : 2000142773