Research Projects

1993 - 1993

FDP-Dダイマーとミオグロビン検出に基づく月経血痕の証明法

日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究(A)  奨励研究(A)

Grant number
05770300
Japan Grant Number (JGN)
JP05770300
Grant amount
(Total)
900,000 Japanese Yen
(Direct funding)
900,000 Japanese Yen

法医学実務においては、着衣等に付着した血痕が月経血に由来するか否かがしばしば問題とされる。従来の月経血痕証明法の一つである血痕からのフィブリン分解産物(FDP;月経血に多量に含まれている)の検出では、月経血は生体末梢血からは鑑別され得たが、月経血同様多量のFDPを含有する死体血との鑑別は困難であった。ところで私は、死体血と生体末梢血のミオグロビン(Mb)含量の差を利用した、血痕からの生体血と死体血との鑑別法を既に考案している。月経血は子宮という平滑筋臓器から出血する生体の血液であり、Mb含有量は生体末梢血と同程度と考えられる。そこで、血痕からのFDPとMbの同時検出によって、生体末梢血、死体血との鑑別を含めた月経血痕の証明が可能であると考えられた。
月経血及び死体血の各10mu1を晒し布に付着させて実験的に血痕を作製し、これに200mu1のPBSを加え37℃で一夜静置して得られた抽出液についてFDP-Dダイマー(二次線溶に特異的に出現するFDPの一成分)の定量を行った結果は、月経血では5.94x10^2〜1.27x10^3ng/ml、死体血では5.84x10^2〜1.58x10^4ng/mlと高値であった。一方生体末梢血のFDP-Dダイマー濃度は9.7〜37.1ng/mlに過ぎないことから、血痕からのFDP-Dダイマー検出により月経血及び死体血と生体末梢血との鑑別が可能であった。月経血のMb濃度を測定すると27.2〜53.7ng/mlであり、生体末梢血のMbレベル(35.5±23.9ng/ml)に相当していた。従って血痕からのMb検出により、月経血も生体末梢血と同様に死体血から鑑別され得ることが判明した。
以上のことから、血痕からのFDP-DダイマーとMbの同時検出により月経血、生体末梢血、死体血の三者が鑑別され得ること(FDP-Dダイマーのみ検出されたものは月経血、FDP-DダイマーとMbの両者が検出されたものは死体血、いずれも検出されないものは生体末梢血)が確認された。

Link information
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-05770300
ID information
  • Grant number : 05770300
  • Japan Grant Number (JGN) : JP05770300