逆ミセル中蛋白質の超高速分光
第4回分子科学討論会
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- 開催年月日
- 2010年9月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 豊中
- 国・地域
- 日本
タンパク質は、テラヘルツ周波数領域に原子集団の協同的運動に起因する低周波振動を示し、タンパク質の生体機能に重要な役割を果たしていると考えられている。しかし、その周波数領域の電磁波は水による吸収が非常に大きく、水溶液試料でタンパク質起因の信号を得ることは困難であり、凍結乾燥試料を対象にした研究がほとんどであった。タンパク質は水溶液中で機能を果たしており、水溶液試料を研究することはその機能解析のために必要である。われわれは、無極性溶媒中逆ミセルにタンパク質水溶液を導入し、試料内の水の吸収を格段に小さくすることにより、液体中蛋白質のテラヘルツ分光を実現した。そして、逆ミセルのサイズを実験的に制御し、水を含めた蛋白質の低周波スペクトルが水和状態に依存することを明らかにした。さらに、蛋白質逆ミセル中の色素分子プローブの電子励起状態ダイナミクスを調べ、水溶液中で見られるフェムト秒領域の超高速ダイナミクスが存在する一方で、ピコ秒からナノ秒の間で、界面活性剤や界面活性剤に水和した水に起因するダイナミクスの存在、そのダイナミクスへの蛋白質の効果や逆ミセルサイズ依存性を明らかにした。