講演・口頭発表等

大型二次イオン質量分析装置を用いた微小ウラン粒子の同位体比分析

日本放射化学会第63回討論会(2019)
  • 富田 涼平
  • ,
  • 江坂 文孝
  • ,
  • 安田 健一郎
  • ,
  • 鈴木 大輔
  • ,
  • 宮本 ユタカ

開催年月日
2019年9月
記述言語
日本語
会議種別
開催地
いわき
国・地域
日本

従来のSIMS装置を用いたウラン同位体比分析では測定対象粒子の近くに存在する不純物(Pb, Al, Fe等)が分子イオン妨害を引き起こし、不精確な同位体比を示す問題があった。この問題を解決するために分析計を大型化したLarge-Geometry(LG)-SIMS装置を用いて、これらの分子イオン妨害の低減を図った。また、環境試料中のミクロンサイズのウラン粒子から十分な二次イオン強度を得つつ、分子イオン妨害を効果的に分離できる最適な分析条件を求める必要があった。本研究は実際の保障措置分析の要求に耐えうる最適なLG-SIMS装置の分析条件の決定を目的とし、ウランに対する代表的な分子イオン妨害を分離できる質量分解能、二次イオン強度と二次イオンのピーク形状の関係を調べた。ウラン粒子のSIMS分析における代表的な分子イオン妨害のひとつにPbAl$^{+}$(質量数: 234, 235)が挙げられる。この分子イオンをU$^{+}$から分離するには計算上で2741の質量分解能が必要となる。この質量分解能を目標とし、十分なウランの二次イオン強度が得られる条件を求めた。その結果、入口スリット200$\mu$m、出口スリット500$\mu$mの時に最も良好な二次イオン強度、ピーク形状が見られた。この時の質量分解能は2560であり、目標としたPbAl$^{+}$をほぼ分離することができる。LG-SIMS装置を用いることで、従来の装置では分離することができなかった分子イオン妨害を概ね分離しつつ、良好な測定が可能であることがわかった。

リンク情報
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5066687