燃料の炉内長期使用時の寸法安定性を把握するために、原子力規制庁からの委託事業として、改良ジルコニウム合金を含む種々の燃料被覆管材料を対象とした照射成長試験をノルウェー・ハルデン炉にて実施した。本発表では、腐食に伴い被覆管に吸収された水素が照射成長挙動に及ぼす影響について報告する。照射試験前に予め水素を吸収させたジルカロイ-4被覆管の試験片(約200ppmおよび約400ppm)と吸収させていない試験片の試験結果を比較したところ、腐食に伴い吸収される水素が照射温度における固溶限を超え水素化物として析出した場合には、析出しない場合に比べ、照射成長量が大きくなる傾向を示した。このことから、照射成長挙動を評価する上では、被覆管での水素の固溶、析出挙動の考慮の必要性が示唆された。