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2005年3月

高クロム鋼の材料特性試験(V) SUS410J3の溶接継手材および12000h熱時効母材の機械的特性

JNC-TN9400 2005-019
  • 鬼澤 高志
  • ,
  • 安藤 勝訓
  • ,
  • 加藤 章一
  • ,
  • 吉田 英一

開始ページ
93
終了ページ
記述言語
日本語
掲載種別
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等

高速炉の実用化に向けて、高温強度と熱的特性がバランスよく優れる高クロム(Cr)鋼を主要構造材料として採用することが検討されている。本研究では、FBR使用温度域における12Cr鋼溶接継手部の基本材料特性を把握することを目的に、SUS410J3の溶接継手材を製作し、クリープ試験および組織観察を実施した。また、SUS410J3母材部の長時間熱時効後の機械的強度特性および組織安定性を評価することを目的に、12000時間熱時効材について、引張試験、衝撃試験および組織観察を実施した。これらの試験の結果、以下の結論を得た。550$^{\circ}C$と600$^{\circ}C$において溶接部のクリープ破断特性を約3000時間まで取得した。本研究の範囲内では、クリープ破断強度は、「溶接継手$<$母材(SR処理)$<$母材(SR処理無)$<$溶接金属」の順で大きくなる傾向がみられた。また、600$^{\circ}C$では、2000時間程度の破断条件下で顕著なクリープ破断延性の低下が認められた。ミクロ組織調査などの結果、破断は母材近傍のHAZ細粒域で生じており、TypeⅣ破壊の可能性が示唆された。溶接継手のクリープ特性については、今後も長時間域の評価データ拡充を図っていく予定である。一方、LMP法から実機想定の最高使用温度550$^{\circ}C$で約35万時間に換算相当される600$^{\circ}C$、12000時間熱時効後の衝撃特性、高温引張特性および組織安定性に関する評価データを取得した。衝撃特性は受入材よりも低下するが、その低下割合は上部棚吸収エネルギーで概ね3$\sim$4割で、前報の3000および6000時間熱時効材とほぼ同様であった。したがって、衝撃特性に対する熱時効の影響は、3000$\sim$6000時間で飽和するものと考えられる。また、引張強さおよび0.2\%耐力は熱時効時間の増加とともに僅かに低下する傾向が認められた。これは、組織調査の結果から、M$_{23}$C$_{6}$などの析出の影響に関与していると思われる。

リンク情報
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?4037670

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