2008年3月15日
右上大静脈欠損,左上大静脈遺残を伴った僧帽弁・三尖弁閉鎖不全症に対する弁形成術の1例
日本心臓血管外科学会雑誌
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- 巻
- 37
- 号
- 2
- 開始ページ
- 104
- 終了ページ
- 107
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.4326/jjcvs.37.104
- 出版者・発行元
- The Japanese Society for Cardiovascular Surgery
左上大静脈遺残に右上大静脈欠損を合併し,しかもほかに先天性心奇形を伴わないことはまれで,開心術の報告は少ない.症例は41歳,男性.労作時前胸部圧迫感を主訴に受診,僧帽弁前尖逸脱による僧帽弁閉鎖不全症および三尖弁閉鎖不全症と診断された. 3D-CT により左上大静脈遺残,右上大静脈欠損と判明した.ほかに心奇形はなく内臓心房正位であった.心電図は冠状静脈洞調律であった.麻酔導入後, X 線透視下に右大腿静脈から肺動脈カテーテルを挿入した.手術は胸骨正中切開により心膜を切開し,肺動脈の左後方に左上大静脈を容易に確認できた.上行大動脈送血,下大静脈脱血により人工心肺を確立したのち,左上大静脈に L 型脱血管を直接挿入した.大動脈遮断・心停止後,右側左房切開より僧帽弁に到達し,逸脱した A2 と A3 に後乳頭筋から計4対の人工腱索を立てた.僧帽弁輪形成術,三尖弁輪形成術を併施した.術後経過は良好で,僧帽弁・三尖弁逆流はともに trivial となった.手術に際し,冠状静脈洞調律を温存することは術後不整脈を予防するために重要であり,脱血管は左上大静脈に直接挿入し,僧帽弁には右側左房切開で到達することが推奨される.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.4326/jjcvs.37.104
- ISSN : 0285-1474
- J-Global ID : 200902275862996233
- CiNii Articles ID : 130004548203
- CiNii Books ID : AN00193284
- identifiers.cinii_nr_id : 9000258234094