2006年1月
紫外線前処理法を利用した尿中トリチウムの測定
Analytical and Bioanalytical Chemistry
- ,
- 巻
- 384
- 号
- 2
- 開始ページ
- 547
- 終了ページ
- 550
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.1007/s00216-005-0166-7
現在日本原子力研究開発機構では、トリチウムによる内部被ばく検査の目的で、作業者の尿を液体シンチレーションカウンタ(LSC)により測定している。尿の吸収波長領域はシンチレータ中蛍光体の発光領域と重なるため、測定時に色クエンチングが起こる。そのため、これまでは試料含有率を2\%(v/v)と少なくすることにより、計数効率の低下や試料ごとのばらつきを最小限に抑えてきたが、高感度でトリチウムの検出を行うためには試料含有率を増加させることが望ましい。本研究では、近年、簡便さと有機物分解特性が評価されている紫外線照射を用いた前処理を実施することにより、試料含有率を増加させることを試みた。紫外線照射により色クエンチングの原因である有機化合物が分解され、トリチウム測定用試料中の尿含有率を40\%まで増加させることができた。この尿含有率の増加により検出下限値は0.031Bq/mlと今までよりも一桁低い値を取った。また、検出下限値を従来の値に保つと測定時間は30分から0.5分まで短縮できた。これらの結果は、トリチウムの定期内部被ばく検査だけでなく緊急時の検査にも有用である。
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- DOI : 10.1007/s00216-005-0166-7
- ISSN : 1618-2642