論文

査読有り
2012年12月

中国大都市における外食消費行動の分析 : 北京市の住民調査から

農林業問題研究
  • 桂 棽棽
  • ,
  • 伊藤 亮司
  • ,
  • 青柳 斉

48
3
開始ページ
374
終了ページ
385
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.7310/arfe.48.374
出版者・発行元
富民協会

中国では,1970年代末の「改革開放」以後,経済の発展にともなう所得の上昇によって,特に都市住民の食料消費において外食が増大しており,それに対応して外食産業の成長も著しい。具体的には,外食割合(外食費/食料消費支出)は,95年の9.1%から09年には21.8%へと2倍以上に上昇している。統計上の相違から単純に比較できないが,日本の17.4%(2009年)を超えている。それと並行して,外食産業も急成長にあり,チェーン店飲食企業の売上高では,09年は03年対比で3.4倍に増大している。但し一方で,外食割合は07年以降,横ばい傾向にあり,最近,外食消費の鈍化の兆しも見られる。ところで,中国の外食消費の実態に関する社会科学的研究では,家庭外食消費支出と所得等との規定性に関する計量経済学的分析が中心であり,外食メニューの選好や外食店業態の選択など,外食消費形態の具体的内容については殆ど解明されていない。そこで,筆者ら(桂他〔4〕)は,外食消費形態の全国的動向について,関連統計での検討とともに,主に10(省)都市での住民アンケート調査結果からその実態把握を試みた。その結果,外食頻度や外食メニュー,外食店業態の選択において,年齢階層別の大きな格差が見られた。そして,外食消費行動の多様性や変化は,世代別のライフスタイルとの関係性が強いという示唆を得た。但し,外食消費形態の「多様性」の把握は,外食メニューや店舗業態等に留まっており,さらに詳しい内容でその実態を捉える必要がある。また,世代別の消費者属性との規定関係においても,さらに特定地域での検証を必要とし加えて,「規定関係」の具体的詳細やその背景についても実態把握が不十分である。そこで本論文では,北京市内の4地区の住民調査にもとづいて,世代別の外食消費行動を分析し,その具体的特徴と今後の外食消費の展望について検討してみたい。住民アンケート調査は,2010年9月と11年9月に実施し,さらに11年3月には,4地区の1つである西城区において面接調査を行った。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.7310/arfe.48.374
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/10031141553
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00202829
ID情報
  • DOI : 10.7310/arfe.48.374
  • ISSN : 0388-8525
  • CiNii Articles ID : 10031141553
  • CiNii Books ID : AN00202829
  • identifiers.cinii_nr_id : 1000030184055

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