共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

イネ澱粉枝作り酵素アイソザイムの各組織における機能と相補作用の解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K05961
体系的課題番号
JP20K05961
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究の目的は、3種類のイネ澱粉枝作り酵素(Branching Enzyme; BEI, BEIIa, BEIIb)の 各組織における役割とその相補作用を明確にすることである。3種類のBEは、組織による発現 強度・相互作用する酵素・好む基質の構造・形成する枝の長さが異なる。我々はこれまで、 二つのBEを欠失させることで、残り一つとなったBEに着目し、イネ胚乳におけるBEの機能と相補作用を明確にしてきた。その過程でBEIIaとBEIIbが欠失すると極めて不稔性が強いことが判明したが、胚乳以外の組織におけるBEアイソザイムの機能と相補作用は不明である。
本研究では、イネBE欠損変異体の花粉・葉身・葉鞘の澱粉構造や澱粉特性および植物体の生育を詳細に分析する。特定のBEが欠失すると、他の酵素がどのように相補するのか、それにより、どのような構造の澱粉を蓄積し、植物体にどのような影響を与えるか明確にする。
2020年度はパーコール法による葉鞘の澱粉精製方法を確立し、野生型・シングル変異体(be1, be2a, be2b)・二重変異体(be1 be2bとbe1 be2a)の葉鞘澱粉を精製した。精製澱粉を枝切り処理し、キャピラリー電気泳動法で分析した結果、be2aとbe1 be2a変異体は野生型よりもDP 6-15が減少し、DP 16以上の長鎖が減少した。その増減の程度はbe2aよりもbe1 be2aの方が大きかった。また、葉鞘澱粉のアミロース含量を測定したところ、野生型が22%であったのに対し、be2aは37%be1 be2aは30%といずれもアミロース含量が大幅に増加した。一方、be1 be2bの葉身澱粉は野生型と同様であり、アミロース含量は15%と低アミロースであった。これらのことから、葉鞘澱粉の合成にはBEIIaが重要な働きをしていることが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K05961
ID情報
  • 課題番号 : 20K05961
  • 体系的課題番号 : JP20K05961