HIC模擬炭酸塩スラリーの照射実験,6; 照射後スラリーの気泡保持特性
日本原子力学会2021年秋の大会
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- 開催年月日
- 2021年9月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 札幌(online)
- 国・地域
- 日本
多段式照射容器を用いて福島第一原子力発電所(1F)炭酸塩スラリー廃棄物を模擬したスラリーの照射に伴うスラリー内水素気泡保持特性および保持の高さ依存性を検討した。上澄み液を除いた模擬スラリーC3およびC5(以下、高密C3および高密C5と表記)を、均一化及び脱泡しユニット1段ごとに4段目まで充填し1時間後にCo-60ガンマ線で容器側面を照射した。積算吸収線量は各ユニットに貼ったCTAフィルムで測定し、高密C3で148Gy/25h(平均6.2kGy/h)、高密C5で135Gy/94h(平均1.4kGy/h)であった。どちらの照射試験においても前報までに確認された(1)ガス(気泡)生成、(2)気泡の成長に伴うスラリーの容積の増大と上澄み液の形成といった気泡保持放出過程が観察された。また、降伏応力は、照射前が2試験平均で62$\pm$0.3Paであったのに対し照射直後の気泡が保持された状態では2試験平均で139$\pm$7.5Paと2倍程度上昇することが明らかとなった。同試料を脱泡することで照射前の降伏応力へ近づくことから、照射により発生した気泡の保持に伴い硬い立体構造が形成されることで降伏応力の上昇が起きると示唆された。さらに照射後の脱泡前後における密度差より各段における気泡保持量を検討した結果、各段におおよそ同程度気泡が保持されていることが明らかとなった。