共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2025年3月

特殊配列を有する新規高分解性プラスチックの生合成と合成機構解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H04368
体系的課題番号
JP20H04368
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

本研究課題は、微生物産生ポリエステルであり生分解性プラスチックとして利用できるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の構造制御に関するものである。PHAの構造制御は、材料物性に直結する重要な技術課題である。PHAは、通常共重合体の合成においてはランダム共重合体しか作ることができないが、申請者はブロック共重合体を合成できる方法を独自に見出している。この合成手法を応用することで、非天然モノマーであるグリコール酸を含むポリマーを得ることができた。得られた共重合体は、同一分子内にランダム共重合体と単独重合体の構造を有する、特殊な配列構造を有していた。ランダム共重合体部分のグリコール酸分率は推定約70モル%に達し。本結果は、これまで全く例のない特殊な構造を持つPHAの合成を可能にするものであり、かつ、グリコール酸分率の高い構造を合成する新規な方法を与えた。グリコール酸ポリマーは高い加水分解性を持つことで知られることから、PHAに加水分解性を付与する効果が期待された。これらの成果はFrontiers in Bioengineering and Biotechnology誌に発表した。さらに、ブロック共重合体の化学構造の拡張に取り組んだ。使用している配列制御型重合酵素は、3-hydroxyhexanoate (3HHx)モノマーに弱い活性を有する。3HHxは材料に柔軟性を付与する性質がある事が知られ、PHAの重要な構成成分の一つである。そこで、進化工学的手法を用いて3HHxモノマーに対する活性が向上した変異体を創出した。こうして得られた新たな重合酵素を用いることで、3HHxモノマーから構成される新規ブロック共重合体を合成することができた。本成果はBiomacromolecules誌に発表した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H04368
ID情報
  • 課題番号 : 20H04368
  • 体系的課題番号 : JP20H04368