2017年4月 - 2020年3月
災害リスク管理における人々の生活と健康に関連するアウトカム指標の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
看護学分野の既存研究論文では、災害時の看護実践の効果や結果についてはほとんど示されておらず、アウトカム指標を抽出することが困難であった。平成30年度はレビュー範囲を広げ保健医療分野の研究論文から、生活健康関連アウトカムとして設定し得る指標およびアウトカムに関連する保健医療活動の抽出を試みた。結果、災害との関連で検討されている生活健康関連指標として、「死亡者数・率」の他、循環器系疾患、深部静脈血栓症、メタボリックシンドロームなどの「疾患の発生数・率」、「慢性疾患患者の状態悪化」、血圧値・BMI・HDL-Cなどの「生理学的データの変化」、疼痛などの「有症状発生数・率」、「Quality of Life」、「主観的健康度」、「日常生活動作(ADL)」、不安尺度、ストレス尺度等を用いた「心理社会的健康状態」、身体活動量・食習慣の変化などの「生活行動の変化」が抽出された。医学分野の研究では、受診・診断の際に収集されたデータが分析に用いられており、公衆衛生分野の研究では、健診データの2次分析の他、尺度や質問紙を用いた1次データの分析が実施されていた。災害の種別では、地震が最も多く約7割を占め、次いでハリケーン・台風などの暴風雨および洪水が約2割、そのほか、津波、火山噴火、火災、事故の文献が含まれていた。災害の種別による指標の差異は特定できなかった。また、研究の多くが実態調査・横断研究であり、保健医療活動との関係は検討されておらず、アウトカムに関連する保健医療活動の抽出はできなかった。
追加の文献レビューと並行し、アジアの災害看護研究者とのワークショップにおいて助言された、直近に発生した災害における看護職の活動の参与観察とヒアリングで実践的な情報を収集した。また、日本災害看護学会第21回年次大会でレビュー結果を報告し、アウトカム指標に関連する災害時の看護実践について議論した。
追加の文献レビューと並行し、アジアの災害看護研究者とのワークショップにおいて助言された、直近に発生した災害における看護職の活動の参与観察とヒアリングで実践的な情報を収集した。また、日本災害看護学会第21回年次大会でレビュー結果を報告し、アウトカム指標に関連する災害時の看護実践について議論した。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H04434
- 体系的課題番号 : JP17H04434