基本情報

所属
京都大学大学院 教育学研究科 教育科学専攻 教育学講座(教育哲学)博士後期課程(2021年3月31日:研究指導認定退学)
学位
修士(文学)(1994年3月 関西大学)
修士(教育学)(2012年3月 京都大学)

J-GLOBAL ID
202101004248082347
researchmap会員ID
R000018871

 後期シェリングの積極哲学、なかでも『啓示の哲学』を読み解くことを基盤としながら、西田哲学や、ホワイトヘッドの歴程哲学にも導かれつつ研究している。

 私の哲学の特異性・難解性は1990年11月5日の宗教的体験に端を発する。その体験以前はマルクスの唯物弁証法や唯物史観を導きとしながら(大阪市立大学時代:卒業論文「学問大全 — 学問の方法と体系の唯物弁証法的研究 — 」)、マルクスの思想をより深く理解するために、その源泉であるヘーゲル哲学を研究していたが、そのなかで平成2(1990)年の宗教的(Visio Dei=見神)体験を経て関西大学大学院(1992〜1994)ではヘーゲル哲学の源泉としてのシェリング、特に後期の思想に導かれて修士論文を書いた(「哲学的に悟るということ 及び 哲学的悟りの方法に就いて」)。

 さらに京都大学大学院では後期シェリングの『啓示の哲学』ポテンツ論を掘り下げる中で(修士論文「完成せる精神」の認識過程 — 後期シェリングの展相論を手掛かりに — )、シェリングの思想(初期の医学研究と積極哲学)を、西田哲学の場所論、ホワイトヘッドの歴程哲学との共通性・相違点にも着目しながら研究した。

 そこで明らかになったことは宗教体験が、体験の共有なくしては伝わらないということであり、そこから心療内科学(心身医学)の自律性療法(Autogene Therapie)ないしは様々な宗教の修行法(仏教のヨーガや禅、キリスト教の祈り)を宗教原理伝達の必須構成要素とする方法が生じた。

 また宗教原理を表現する場合には、現在我々が用いている、能動態と受動態のみで構成される言語(二肢言語あるいは両肢言語)文法では不十分(不便)で、古代のインドやギリシアで用いられていた中動態系の(中動態と、中動態に対立する限りでの能動態、から構成される)言語文法が必須であることが気付かれるようになり、宗教原理表現の方法として中動態系の言語文法を研究している。

 最近では山折哲雄の、修業方法の違いは宗教体験の違いを生む、という発想(『「坐」の文化論』1981、図説日本仏教の世界6『禅と無の境地』1989)から、自律性療法(心身医学)によって生じる宗教体験は、仏教系のヨーガ・禅や、キリスト教系の祈り(das Gebet)によって生じる宗教体験とも異なっているのではないかという観点を、これまでの研究に加えて学位論文へ繋げたいと考えている。


書籍等出版物

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講演・口頭発表等

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