2020年4月 - 2023年3月
放射線照射反応場を利用した樹脂基材表面への貴金属ナノ粒子の直接担持法の研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
樹脂基材のモデルとしてABS樹脂板を使用し、Pdナノ粒子およびAgナノ粒子の固定化を行った。それぞれの金属イオン溶液に樹脂板を含浸した状態で、放射線(加速器電子線もしくはコバルト60ガンマ線)を照射した。放射線照射により誘起される化学反応により、金属イオンの還元反応と樹脂表面の改質反応が同時進行することで、樹脂表面に貴金属ナノ粒子が固定化される。出発原料として過剰量の金属イオン水溶液が使用されていることが課題となっていた.その使用量低減を劇的に低減させる新たなプロセスとして、金属イオン水溶液と樹脂基板をビニールバッグに封入した後に真空脱気を行う手法(脱気法)を検討した。作製したPd/ABS試料のSEM観察を行ったところ、提案したいずれの手法でもABS表面にPdナノ粒子が固定化されていることが分かった。さらに,従来手法では散見された粗大な粒子がほとんど見られなかった。溶液を密着させ液の厚みを小さくしたことにより, Pd粒子の粒成長が抑制されたものと考えられる。提案手法により,金属使用量を劇的に低減することができた。抗微生物応用を意図し、作製したAg/ABS試料の物性及び抗微生物特性の評価を行った。Pdと比較し、Agは樹脂表面への固定化量が非常に少ないことが分かった。一方で、担持量が10 ng-Ag/cm2と微量であるにもかかわらず、高い抗菌性と抗ウイルス性を発現することを見出した。さまざまな感染症対策に貢献しうる技術として期待される。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K05382
- 体系的課題番号 : JP20K05382
この研究課題の成果一覧
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論文
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Nanomaterials 12(22) 4106-4106 2022年11月21日 査読有り
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Nanomaterials 12(17) 3046-3046 2022年9月2日 査読有り筆頭著者責任著者
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Nanomaterials 12(9) 1463-1463 2022年4月25日 査読有り責任著者