地下水流動を考慮した地球統計学的手法による汚染物質濃度分布の推定
第32回日本情報地質学会講演会(GEOINFORUM 2021)
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- 開催年月日
- 2021年6月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- online
- 国・地域
- 日本
放射性核種や化学物質による汚染が地下で発生した場合、適切かつ効率的な環境修復のため、汚染濃度分布の解明が必要となる。汚染が帯水層に移行している場合、限られた測定データの単なる内外挿ではなく地下水流動の影響を考慮する必要があるが、汚染の履歴(各時刻の放出量など)は明らかでない可能性がある。本研究では、地下水流動を考慮した地球統計学的な汚染分布評価手法を検討した。$^{3}$Hによる仮想的な汚染分布(2次元)に対する評価の結果から、測定値の不確かさが小さく水理地質構造が既知である場合、限られた測定点数でも未知量である各時刻の放出量と濃度分布を精度良く評価できることを確認した。さらに実際のケースとして、茨城県神栖市におけるジフェニルアルシン酸(有機ヒ素化合物)による汚染事例を対象に本手法を適用した。評価の結果、濃度分布の推定結果は汚染源直下および井戸周辺での高い測定値の傾向を再現し、評価に用いた32点の測定値に対する絶対誤差平均は3.0mg-As/Lに抑えられた。一方地下水に放出した総ヒ素量は2.9kgと推定され、測定濃度と地下水体積の積としての推計値40.89kgからずれが生じる結果となった。評価精度の向上のためには、水理地質構造の不確かさ(境界条件,収着特性など)の考慮が必要である。