論文

査読有り
2022年12月

3次元地下汚染分布評価に対する地下水流動を考慮した地球統計学的アプローチの有効性検証

Journal of Contaminant Hydrology
  • 高井 静霞
  • ,
  • 島田 太郎
  • ,
  • 武田 聖司
  • ,
  • 小池 克明*

251
開始ページ
104097\_1
終了ページ
104097\_12
記述言語
英語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.1016/j.jconhyd.2022.104097

放射性核種や化学物質により汚染された地下環境に対し、リスクを評価し除染対策を立てるためには、測定データから汚染物質の濃度分布とその不確かさを正確に推定する必要がある。汚染の放出時刻歴が明らかでない場合でも、これを時間方向の相関を考慮して測定濃度から逆解析することで、既知の汚染源から放出された汚染分布とその不確かさを地下水流動を考慮した地球統計学的手法によって推定することができる。しかし、従来の手法には3つの課題があった:(1)実際の汚染事例に対する3次元的な検証例がない、(2)推定値に制限がないため、負値の発生及び不確かさの増大につながりうる、(3)複数の汚染物質を対象とした検証例が少ない。これらを解決するために、本研究では地下水流動を考慮した地球統計学的手法に、ギブスサンプリングによる非負の制限を導入した。そして本手法を、Gloucester処分場(カナダ、オタワ)における地下汚染事例に適用した。評価対象は、水に可溶な3つの汚染物質(1,4-ジオキサン,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル)とした。その結果、1982年の測定濃度(66点)から推定した汚染分布は、全ての汚染物質に対し測定値と高い相関(相関係数R$\sim$0.7)を示し、本手法の有効性が確認された。特に1,4-ジオキサンに対しては、1978年の実際の大規模投棄に応じた放出ピークが、最小エントロピー法による先行研究よりも正確に推定された。同様の放出ピークは他の汚染物質に対しても、有機炭素含有量からの遅延係数の推定範囲で概ね再現された。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1016/j.jconhyd.2022.104097
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5075815
ID情報
  • DOI : 10.1016/j.jconhyd.2022.104097
  • ISSN : 0169-7722

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