共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2006年

細胞老化関連遺伝子Tarshの肺癌における癌抑性機構の解明と臨床診断への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17591483
配分額
(総額)
3,700,000円
(直接経費)
3,700,000円

TARSH (Target of NESH-Sh3)/Abi3bpはE3B1/ArgBP/Avi2/NESH familyのNESHとSH3ドメインを介して結合する分子として見出された遺伝子であるがその生物学的機能はまだ明らかでない。我々はTARSHmRNA量がマウス胎児由来繊維芽細胞(MEFs)の細胞老化に伴って増大する事を見出した。細胞老化が生体において発癌抑制機構として機能している可能性を踏まえ、本研究では「細胞老化と癌化」に着目してTARSHの発現状況や機能解析を行った。1)TARSHmRNAがマウス・ヒト共通に肺で高発現していることを明らかにした。ヒト肺癌由来細胞株およびヒト肺癌腫瘍部位におけるTARSHの発現量をヒト正常肺由来cDNAや個々の症例における非腫瘍組織をコントロールとして定量PCR法にて解析した。その結果、これまでに調べた細胞株15種、肺癌手術検体80例すべてでTARSHmRNA量がコントロールに対して有意に低下していた。この結果からTARSHが肺癌と強い関連がある事が示唆された。2)レトロウイルスを利用してTARSHの3'UTRを標的としたshort hair-pin RNAを発現させ、TARSH遺伝子発現量の低下が細胞に及ぼす影響を調べた。TARSH遺伝子発現ノックダウンによって野生型MEFsで著しい細胞増殖抑制が認められた。この時S期細胞の減少、二核化やセントロソーム数の異常が認められ、TARSHが細胞周期に関連した機能を持つ可能性が示唆された。

ID情報
  • 課題番号 : 17591483